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ロボット技術のポータルサイト|ロボナブル ロボット技術、文化、社会をcreation(創造)& recreation(楽しみ)するポータルセンター
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セルフサービスの行き着く先は!?

電車やバスの車中で、多くの人が携帯を操作しています。
ゲームにいそしむ人や、メールを書いたり読んだりする人など様々です。

以前、外国の知人が来日した際、この様な携帯の利用は日本特有であると、やや奇異に感じて離日しましたが、その後、よくよく観察していますと在日外国人も似たり寄ったりで結構移動中に携帯を利用しています。Kc380036

民族性や文化の違いもあるのかもしれませんが、こと携帯に関してはむしろ文明度の方がより影響していると思え、多様な選択肢、より便利なツールへの希求が、現在の利用状況を生み出した様に思われます。

ところで、tonkatsuは諸事情から賃貸物件を探す羽目になり、近くの不動産屋さんを訪ねた所、「ネットで物件情報を調べられましたか?」と聞かれました。最近ではネットで下調べし、ある程度候補を絞ってから不動産屋さんを訪問することが常識だと言わんばかりの顔をされました。確かにその方が効率的ですが、不動産情報や知識に疎く、また候補を絞る手間も惜しいため相談したかったのに、半ばセルフサーブスが常態化していると感じました。
それでも、面倒なので食い下がった所、なんと担当者は顧客要求を絞り込むノウハウを持ち合わせていませんでした。(いつのまにかサービス品質が劣化していました。) これは例外?、それとも一例?Kc380043_2

以前はその道の専門家に任せられた(委ねられた)ものも、選択肢が増えることで、それに附帯する情報量も加速度的に増え、そのしわ寄せ?なのか最近不便なことも増えた気がします。(年のせいかもしれませんが?)

セルフサービスの仕組みがもう少し進化すれば、...それは、すなわちロボット・エージェント・コミュニケーション・サービスの登場なのかも?

2008年3 月13日 (木) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ

1億円のロボットは作れる?売れる?

日本ロボット工業会より、2007年の産ロボ出荷額は、5.3%増の5,850億6,000万円で過去最高であったことが発表されました。※ロボナブルニュース掲載

堅調な伸びを示す産業用ロボットとは裏腹に、サービスロボットを始めとする非産業用ロボット市場は、依然市場形成を模索している状況にあり、新市場/新製品の創造において克服すべき技術的な課題、顧客ニーズ(用途)の発掘、また、販売/サポート体制など、様々なハードルがある様です。

ところで、自動車産業に目を転じますと、若者の車離れが指摘されるなか、2007年の国内新車販売は前年比6.7%減の535万3,645台と3年連続で減少、反面、ニッチマーケットですが高級スポーツカーは好調で、中でもGT-Rは、12月時点の先行予約で約2,700台と販売目標の200台/月を大きく上回っています。Gtr
ニッチマーケットとは言え、GT-Rの価格は約800万円ですので、販売額は200憶円以上になります。

一見、1車種(単一商品)の少品種少量で何百億も稼ぐのはとても効率よく映りますが、車の研究開発費は、医薬品と並び投資負担が重く、数百億から数千億円かかると言われますので、グローバルニッチ市場での販売までを見据えたマーケティング戦略が必要とされる様です。

GT-Rに連想され、2年前話題になったスーパーカーが想起されました。車好きの方であれば覚えていらっしゃると思いますが、2005年の東京モーターショーで発表され、300台を上限として限定生産されたブガッティ・ヴェイロン(Bugatti Veyron 16.4)です。こちらは、国内販売価格が、現在1億9,900万円との事で性能もスーパーであれば、価格も、そして所有するための審査条件もシビアな様です。

ご存知の様に、この2車のタイプに代表されるマーケットは、(実際には不必要な)速さに究極の価値を見出すユーザ層をターゲットとしています。

残念ながら2車の購入を検討できる立場に無いtonkatsuですが、ロボットも逆転?の発想で、とてつもない開発費を投入して、ワールドワイドに販売する気宇壮大(荒唐無稽?)な構想があってもHonda_2 良いかもしれません。ニッチマーケットに向けた高機能付加価値の究極製品というプロダクトアウト戦略は、意外とロボットにもフィットするかも!?

※自動車メーカのロボット開発も、そろそろ本腰が入るかもしれません?HONDAのウェルカムプラザ青山では、走るASIMOのデモンストレーションを行っています。(写真は、デモとは無関係)

2008年2 月18日 (月) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ

市場の再発見、再創造とは?

2008年は、経済も政治状況も予断を許さない幕開けとなりました。 Fire_2
ですが、泰然自若に構え、一喜一憂することなく、科学の進歩と人間の英知がもたらす豊かな社会を目指して(信じて!?)、仕事、そして生活をエンジョイしたいものです。今年も宜しくお願いします。

さて、少し季節外れの話題ですが、ここ数年前より都心を中心に、自転車(バイシクル)がブレイクしています。長い間(今でも多数を占めますが)日本人にとって自転車とは、通勤、通学、買い物の足(移動手段)として利用されてきました。ところが最近のブレイクのきっかけは健康ブーム、エコロジー志向、若者文化が発端となり、スポーツとして、CO2削減活動、そしてクール(格好いい)とSnow いう新しい価値観のもと、新たな市場を開発、成長しています。
この面白い点は、自転車に革新的な技術開発があったから市場が創出されたのではなく、人が変わったら以前からからあったものが突如として再発見、再創造されたことです。

ちなみにこの現象から、町の自転車さんは商売が繁盛したのかと思いきや、どうもそうでは無い様です。
旧来の自転車小売店は、移動手段なら安価な自転車で良しとする顧客ニーズに対してスーパーや量販店との販売競争に敗れ、次々と廃業し、他方、小売店に自転車を卸していた老舗の国産自転車メーカーは、スーパー等が仕入れる中国、台湾製の安価な自転車メーカーに押され、事業縮小、撤退を余儀なくされました。
そして、この状況下に、何かの巡り合わせの様に新しい市場が再創造されました。

自転車に、単なる移動手段とは異なる、スポーツとして楽しめる、クールな道具としての価値を求めBike_3 るユーザ、そのニーズに応える自転車を開発するグローバルメーカー、そしてそれを販売する小売店/ネット通販という市場の再創造は、ちょっとしたタイミングと巡り合わせのアヤがきっかけとは言え、プレイヤーの新旧交代を促し、メーカーの新規参入、技術開発競争という好循環をもたらしています。
※クールな自転車の象徴として、固定式ギヤバイク(一般には乗りづらいマニアックな車種)まで一般に販売される様になりました。

ところで、ピアノを弾くロボット、二足歩行ロボットというヒューマノイドロボット分野に、自転車に乗るロボットも登場します。人の価値観が変わることで、今年当たりロボットも大ブレイクするかも!?

2008年1 月22日 (火) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ

ロボットサンタはあり?

クリスマスと言えば、キリスト教最大のイベント!B

そんなことを想起していましたら、欧米人のロボット観について妙に納得させられる一説を思い出しました。
それは、「神が生命の創造主とされるキリスト教では、ロボットのような疑似的生命体を作ることを神への冒涜と感じる」と言うものです。
この一説は、日本におけるロボット開発の意気ごみとはうらはらに、欧米がやや低調であることにある種の説得力をもたらします。

ところで、宗教観と先端技術の問題と言えば、クローン技術の研究開発の方が先行しており、こちらは既に宗教観を超えている様で、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」も制定されています。A_5

技術的課題や用途開発が未だ発展途上にあるロボットとは対照的に、クローン技術は、医学や食品分野で幅広いニーズがあり、反面その影響力の大きさから、その取り組み方について肯定、慎重、否定など様々な考察がなされています。

クリスマスプレゼントは、サンタクロースがトナカイに乗って運んできます。
ロボットが馴染まないキリスト教圏の欧米では、ロボットサンタクロースなど、もっともありえない組合せということになりそうです。
と思い、念のため調べた所、なんと米国のRuss Berrie社で
サンタクロースロボットが販売されていました。

欧米も意外と大らかなのかもしれません!?
メリークリスマス!

2007年12 月20日 (木) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ

ベーゼンドルファーへのオマージュ!?

クラシック音楽のコンサート用グランドピアノとして、スタインウエイと人気を二分するベーゼンドルファーが、ヤマハに買収される記事を目にとめました。買収の経緯として両社の経営環境や、最近の中国製ピアノの台頭に象徴される業界の構造変化などが解説されていました。

ところで、ピアノと言えば、古くて新しい自動化、ロボット化のテーマとなる製品の一つです。
私は知りませんでしたが、自動化の歴史はヨーロッパで18Cまでさかのぼることができ、現在私たちが知っている形の自動ピアノは1900年初頭に米国で量産化され、1920年代には一時期、普通のピアノよりも売れたそうです。
その後、蓄音機など音楽を楽しむ他の製品が登場する中、自動ピアノは衰退しましたが、ピアノそのものは電子オルガンやシンセサイザーなど、弾き手のニーズによって、様々な種類が開発されてきました。Show_window

そして約半世紀後、今度は日本の筑波博でワスボットなるピアノを演奏するロボットが登場しました。残念ながら、こちらの方はプロトタイプの域を脱せず、市場で日の目を見ることはありませんでした。
その後現在、九州工業大学や中国のハルビン大学などにおいて、再びピアノ演奏ロボットが研究開発されています。

ピアノの自動化、ロボット化の歴史を振り返りながら、製品における自動化(利便性)の価値とは? ロボット化による新たな付加価値の創造とは? を再考することも意味があるかもしれません。
ちなみに、ベーゼンドルファーは、音楽の都、ウィーンで1828年に創業され、その音色はdarker or richer than the more pureと賞賛されています。
唯一無二の価値をもつこの様な製品でさえ淘汰されかねない現代の市場ですが、見方を変えれば180年という異例の製品寿命が、今回の買収でなおも永続し続けることになります。本物の凄みでしょうか?

※写真は、ベーゼンドルファーピアノやピアノ演奏ロボットとは無関係です。

2007年12 月14日 (金) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ

ロボット的に映るデザイン?

ロボットでないものが、ロボットの様に見えた(映った)経験はありませんか?
わたしは、モーターショーなどに展示されるコンセプトカーや、ITOKIのMOMOTAROというデスク(机とイス)システムを見た時にそれを感じました。Img_0086_11

MOMOTAROは、なんでも「人と距離との関係を科学したプロクセミックス理論」に基づき開発されたそうですが、その理論はわからずとも、見た目の強烈な印象は、周りの空間や、そこで行うであろう仕事までも一足飛びに未来に想いを馳せるイメージ力がありました。
もちろん、これはあくまで個人的な印象で、様々な見方(見え方)がありえ、また、ロボット的に映ること=製品の売行き ということではありません。

070615_110301_3 両者のデザインに共通点として、デザインは既に単なる表面的な視覚で捉えられる良否、好悪を超え、その利用性としての機能要素、それを使う人のシーンや愛着、所有欲などの欲求をデザインに封じ込める技が求められている様に感じました。

利用性に着目したデザインコンセプトには、ユニバーサルデザインがありますが、それを使う人の欲求については、どんなデザインコンセプトがあるのかしら?ひょっとして、このあたりにロボットデザインの肝があるのかも?

ところで、サービスロボットを中心に少しずつロボットが市場に登場してきていますが、本来ロボットとして開発されたものが、ロボットとして見えなかったりするのも逆説的かもしれません!?

2007年11 月26日 (月) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ | コメント (0)

ロボットAEDの開発に期待!?

最近注目している機器の一つに、AED(Automated External Defibrillator)自動体外式除細動器があります。
注目している理由は、...
・心臓がけいれんした時に使う医療機器である点
・専門的な知識を必要とせず使用できる点
・公共施設を中心に設置が普及し始めている点

生死にかかわる事態に、一般人が操作する(電機ショックを与える)機器があるという事実は、知らない人にとっては新鮮な驚きだと思いますが、欧米での普及に比して、日本では諸般の事情から立ち遅れています。

Aed1_2知識を必要としない仕掛けは、指示、判断、実行の自動化
AEDは、初めて使用する人でも操作できる様に、以下の様な点が工夫されています。

1. 指示:音声ガイドによる操作手順の指示
2. 判断:心電図による自動解析で、電気ショックが必要かどうか判断
3. 実行:ボタン操作一つで電気ショックを実行

【初めての人 + AED = 生死を救う】
AEDは、ロボット関連機器とは捉えられていませんが、ヒューマンインタフェース、オートメーション、そしてそれがもたらす効能(成果)として、とても高付加価値な製品だと思われます。

Aed2_3 普及が先行した欧米市場では、既に様々なAED機器が開発・製造されています。一方国内市場の本格的な立ち上がりはこれからですが、市場環境は急速に整いつつある様です。
もし、インテリジェント機能を高めたロボットAEDなる機器が日本発で開発され、欧米を含むグローバル市場に販売、普及すれば、「人の役に立つ=ロボット」としてロボット価値観の啓発、またロボット関連市場も活況を呈するかもしれません。
※「ロボットAED」と冠するだけでも、注目度が更にアップするかも!?

2007年11 月16日 (金) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ

タクシーの自動ドアは、ロボット文化の象徴!?

ちまた、10余年ぶりにタクシー料金の値上げが話題になっています。
今回の値上げは運転手の労働条件の向上が主目的の様ですが、供給過多な感も否めない都心のタクシー台数を見ていますと、何か釈然としないものを感じつつも、国内の料金は諸外国と比較してもまだ割安、いや割高など、諸々の記事が目に止まります。

Taxi_2ところで、海外旅行先でタクシーを利用する際、ドアが開閉せずに戸惑ったことはありませんか?
そうです、タクシーのドア自動開閉システムが一般化している国は、日本を筆頭にごく一部(香港)の国だけなのです。
見方を転じれば、日本を訪れる外国人にとって、タクシードアの自動開閉は"サプライズ"なのです。
※WebでTaxi, doors, automatically, surprise などの言葉で検索すると多くのページを見つけることができます。

お店やホテルなどの入口も、海外よりは日本の方が、圧倒的に自動ドアが多い気がします。
やや飛躍に過ぎるかもしれませんが、自動(便利、手間いらず、至れり尽せり?)を好む日本人のメンタリティに、自動化の究極としてのロボットは、何か響くものがあるのかもしれません。
Door_4

実のところ、タクシーのドアは、搭乗者を検知し"自動"開閉するのではなく、運転手が、後方の安全確認、搭乗者の乗降確認をし、"手動"で操作しています。無理に自動化する必要もありませんが、インテリジェントな機能を搭載した真の自動操作が実現すれば、運転手の負担軽減、そして搭乗者に新しいタクシー体験(アメニティ)を提供できるかもしれません。やや荒唐無稽かもしれませんが、近い将来、ロボットアシスト・タクシーも登場するかも!?

日本人のロボットに対するこだわりは、これからの産業と社会が必要とする、技術レベルだけではない、文化レベル、価値観をも包含した新たな製品やサービスの台頭を予感させます。

2007年11 月 8日 (木) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ

ロボタイズドMTってロボット?

またまた、サボってしまいましたTonkatsuです。
さて、以前、自動車の雑誌を読んでいましたら、ヨーロッパの新車の試乗記事にロボタイズドMTなる用語を見つけました。

車に疎い私は、オートマチックとどこが違うのか説明を読んでも今一つピンときませんでしたが、マニュアル構造の良い点を生かしたままオートマの変速の自在性を実現し、従来のオートマの弱点とされている燃費効率や静粛性をも改善した機構の様です。

ところで、ロボタイズドもオートマチックも、どちらも"自動化"という意味合いを持った言葉ですが、その違いはどうもはっきりとしません。両方の用語で検索した所、「The IEEE Robotics and Automation Society」なる団体を見つけ、冒頭説明にあるロボット技術に関する定義を読みましたが、以前オートメーションとの境界が判然としません。※当サイトに、世界中の関連イベントや研究会活動がGoogle Mapで表示されておりロボット関連活動の分布図が鳥瞰できます。

ひょっとして、ロボットという言葉は古くからありますが、実用化されているものが意外と少ないため、その定義は明確でないのかもしれません。(実用化→共通化→理論化のステップの未だ第一段階なのかも?)

近い将来、MTの進化系であるロボタイズドMTが一般化することで、新たなロボット概念が形成されるかも!?

2007年9 月17日 (月) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ

音声技術は、ロボット関連技術のキードライバーか?-「音声技術のアメニティ」第3回目

tonkatsuです。あっと言う間に、1ヶ月更新が滞ってしまいました。さて、音声技術シリーズも第3回目の今回が最終回、いよいよ核心に迫ります。
今回も、音声技術のリーディングカンパニーである米Nuance Communications Inc. Nya_logo_2 (NASDAQ:NUAN)の日本法人、ニュアンスコミュニケーションジャパン株式会社(米国本社NASDAQ: NUAN)の村上さん、平沢さんに、ご自身のロボット観も含め濃い議論を展開いただきました。 

ton:いきなり核心の質問ですが、音声技術はロボット関連技術のキードライバーとお考えですか?
村上:音声は、人からの命令や、人への応答に重要なインタフェース機能を担っていますので、その機能が自動化、高度化、インテリジェント化されれば様々な利便性がもたらされます。ヒューマノイドの様な形であるかどうかに関わらず、ロボット関連技術のキードライバーであることは間違い無いと思います。

平沢:弊社にもロボット関連製品への適用についての引合いが増えてきています。

ton:その割には、音声認識に対応したロボット製品が次々と開発されているという勢いを感じないのですが?
村上:そうですね、過剰な期待感が先行してしまう点や、ROI(投資回収率)の良い利用用途が未開拓である点など、音声認識とロボットはある意味似た状況なのかもしれませんね。どちらもお互いにドライブしきれていない感じでしょうか。ただ、最近のメーカの開発動向を見ていますと、そろそろ何か突出した商品の登場をきっかけに、市場がブレイクする兆しを感じます。

平沢:業界関係者の中には、音声認識や音声合成がいまひとつブレイクしないのは、あとは知名度と浸透度の問題なのではないか?と考えている人もいます。現状の技術水準でも「ああ、こう使えば便利なのか」という情報が広まっていないことが要因ではないかという訳です。その意味では、実は90年代の後半に音声認識の浸透度が瞬間的に広まったことがあったのです。日本IBMさんが販売していたディクテーションのパッケージソフトViaVoice(現在はニュアンスから販売)のテレビCMが、タレントの香取信吾さんを起用して大々的に放送された時期がありました。ViaVoiceにせよ、Dragon NaturallySpeaking(ニュアンス製)にせよ、ディクテーションのパッケージソフトはある程度は普及している製品ですが、音声認識による入力のマーケットが立ち上がって軌道に乗るという域にまでは届きませんでした。

Talkman_2  最近メディアで注目された製品としては、PSP(R)(プレイステーション・ポータブル)向けのゲームソフト、TALKMANTM(トークマン)があります。これは、音声入力(音声認識)した内容を外国語に翻訳して応答(出力)する「異文化コミュニケーションきっかけツール」 とでも申しましょうか。一時期、大々的にテレビCMが放送されましたのでご存知の方も多いのではないでしょうか。TALKMANなど広い意味では、ロボット翻訳機と言えるかもしれません。この種の製品が増えてくることで、ユーザの音声認識インタフェースの利用ノウハウ(リテラシー)が適応してきて、今後さまざまなロボット関連製品が普及する下地作りになると期待しています。TALKMANのような端末製品を、(翻訳)ロボットと呼ぶのは、本来の「ロボット」の定義から少しはみ出しているかもしれません。でも、最近メディアで目にするお掃除専門ロボットなどのサービスロボットも、既存の製品(掃除機)の発展・進化形と受け止めることもできると同時に、掃除機がロボットになったと受け止めることもできます。どこまでの変化や進歩が「改良」に過ぎず、どの段階からが新たに「ロボット(的)」なのか、定義が難しいですよね?

ton:ご指摘の点は、同感です。この辺りに関して、最近、「次世代ロボットビジネス議論の持つ課題」望まれる明確なロボットの定義 という論文を見つけました。産業界でも、この点は課題となっている模様です。

ton:それでは、最後に総括質問です。近い将来、音声認識技術2.0とも言うべき画期的な新技術の製品化から、市場は本格的な成長軌道に載るのでしょうか?
村上:そうですね、楽観的には、大いにそうあってほしいですね。
但し、どの産業分野でも同じだと思いますが、高度な技術は価格も高価ですので、ビジネスである以上、その適用におけるROIの視点は不可欠です。また、市場を見渡すと、未成熟な製品でも普及しながら、熟成、進化が許容される性格の製品と、製品の完成度の閾値(ユーザの期待値)を越えない限り普及もままならない特質の製品があります。音声技術やロボットは後者の範疇に位置していると思われますので、技術革新が進みさえすればそれに比例して段階的に市場が切り開かれていくと考えるのは安易に過ぎるかもしれません。

また,われわれニュアンスは音声を"認識"したり"合成"したりする部分のテクノロジーを提供しているわけですが、完結したシステム(製品)として見た場合には、音の入出力に関する技術の進歩も、市場の発展にとっては重要だと考えています。例えば骨伝導やノイズキャンセルといった分野の技術が進化することで、騒音の激しい環境下でも利用できる音声インターフェースが登場するかもしれません。

平沢:絶え間ない技術革新が我々音声技術ベンダの責務であることは間違いないですが、何もかもを「人間並み」にすることをゴールに設定して、そこに届かない技術を「未熟だからまだ早い」と拒絶されてしまうのはさびしいのです。音声インタフェースに何をさせたいのか、技術の(段階的)なゴールをどう設定すべきか、より深い議論や分析がなされて技術を提供する側と利用する側との間で共有できると、「できるところから導入していく」サイクルが回ってくるのではないかと期待しています。具体的に言うと、我々人間と同等の機能で人間の代わりを担わせたい「代替指向」の音声インタフェースと、人間にはできない芸当、たとえば、24時間365日稼動とか、大容量データの処理のような「拡張指向」の音声インタフェース、という軸で考えてみるのはどうでしょうか?

今回のインタビューを機会に、私なりに音声インタフェース技術が目指すべきゴールを明確にするための検討課題をまとめてみました。

Q: 音声インタフェースは社会でどんな役割を担うべきなのか?社会のどこでどんな貢献をすべきなのか?
・人間にできることを代行するのが、役立つことなのか(代替指向)
・人間には到底できないことを行うのが、役立つことなのか(拡張指向)
・人間と機械は、何をどう分担すべきなのか?

事例(case)に当てはめてみると、Shaberingaru

case1: 音声認識エンジンのオフライン利用
何千、何万の人間同士の対話(通話)データが保存されている場合に、この大量のデータを音声認識エンジンでモニタして、テキストに書き起こす・インデックスをつけておく、など。人間が検聴して処理できる分量ではなく、「拡張指向」な適用と言える。

case2: オペレータ代行
周知のようにコールセンタのオペレータは非常な激務で定着率が低い。音声対話システム(自動応答システム)で一部を代行することは、オペレータを激務から解放するのに役立つのか? これは、「代替指向」に動機付けられているのか、それとも「拡張指向」で考えるのか?を明確にしておかないと、音声技術を導入して何を達成したかったのかわからなくなる危険がある。

case3: 「企業の顔(窓口)に自動応答など使えない」という考えは変わるか?
代替指向的な観点での音声インタフェースの導入には否定的な人も多い。これは地域・業種によらず普遍的なのか、それとも、日本と欧米の間では、音声インタフェースに対する価値観が異なるのか?

case4: 30分待たされても、人間のオペレータに対応させたいのか、限定的な対応でもよいから待たされずにシステムに対応させたいのか?

case5: 音声認識を、機械の"耳"とだけ考えて活用していくのか、あくまでも機械の"脳"と捉えて知的な能力を求めるのか。

case6: 対話システムが子供や老人の風貌をしていたら、音声認識・理解の性能の期待値は低く設定されるのか?音声対話システムをユーザからの期待値をどうコントロールすればよいのか?

case7: ロボット研究で有名な"不気味の谷"と同じ問題は、音声合成でも生じるのか? 音声合成に期待される品質とは何をどこまで実現することなのか?

ton:これらの課題は、思考を巡らすヒントにもなりますね。
例えば、case4などは、Webや携帯を使って自ら必要な情報を得る(セルフサービス)ことに慣れてきていますので、そのうち、人のオペレータが介在することの方が特別な対応になるかもしれません。
また、case3と7については、「ロボットから人間を考える」というテーマで、アイボのAI開発に携わった著名なフレデリック・カプラン氏のインタビュー記事が、示唆に富んでおり考えさせられました。

3回にわたって、音声認識のアメニティをテーマにとても役立つ情報をご提供頂きありがとうございました。
せっかくの機会ですので、何か自社の宣伝などありましたらお知らせください。

村上:弊社は、音声技術の他に、多くの方々がご利用になられているPDFファイル向けに編集用ソフトの開発、製造、販売も行っており、最近、「PDF Edit2 Professional」 という高機能かつ低価格の製品をリリースしました。体験版もご用意していますので、是非、弊社サイトをご覧ください。

ton:私も使ってみようと思います!

2007年8 月20日 (月) カテゴリー: 2. tonkatsu 編集員 | 個別ページ | コメント (0)

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