京都大学ベンチャー ロボ・ガレージ代表
高橋 智隆(たかはし・ともたか)さん
高橋さんは、人間顔負けのモデル立ち、モデルウォークをキメる女性型二足歩行ロボット「FT(エフティ)」を06年4月に発表しました。大人の女性をイメージした6等身で細身の美しいスタイル。彼女は長い髪やバストはもちろん、スカートがなくとも女性らしさを十分に感じさせてくれます。これまで、多くのロボット開発にかかわってきましたが、一貫して「誰が見ても格好いいロボット」にこだわります。04年に開発した独自技術でスマートに歩く二足歩行ロボット「クロイノ」は、米TIME誌のその年の「クールな発明」に選ばれました。自らをロボットクリエイターと称し、「人とロボットのよりよい関係」を持論とする高橋さんに迫ります。
大人の女性をイメージしてー ロボットの半分は女性型に
「バービー人形を歩かせたい」とアメリカのホビーメーカーから、依頼されたのが「FT(Female Typeの頭文字)」開発のきっかけです。その時は、無理だと思って、すぐに断りました。
そもそも人間の形をしたロボットは、男性型です。男性型があるのに、女性型がなかった主な理由は3点あります。細い足や胴にモーターや基板などの部品が入れられない細い部分があるため重心が不安定になるロボット研究者はほとんど男性なので女性らしさが分からないーというものです。
ですが、実社会に目を移すと我々の社会生活は女性の存在なしで成り立ちません。変な限定をすると性差別のように思われるかもしれませんが、女性にしてほしい役割や男性にやってほしくない仕事もあります。
例えば、受付の仕事などコミュニケーションを通して、優しく迎えるような必要があるサービス系ロボットは女性型の方が向いています。人間の男性、女性で感じる向き・不向きはロボットにもあるのです。
また、一歩間違うとロボットは人間にとって怖いと感じるものです。初めて見たときに恐怖感を抱き、泣き出す子どももいる。これを少しでも軽減させる方法の一つとして女性型は有効です。そこまで考えた時、これは技術的なチャレンジだと意識を改め、開発に取り掛かりました。
大人の女性をイメージしてスタイリッシュに仕上げたのですが、一番工夫したのは、歩き方と骨格です。今までのロボットは自分自身の歩き方をイメージしていたのですが、今回はファッションモデルに歩き方を研究させてもらいました。実際に歩いてもらい、モーションの助言もしてもらったのです。
また、大人の女性をイメージして足を内股に設定し、足の付け根を腰の外側から伸ばして骨格的にも女性らしさを表現しました。白を基調としたボディーに、小さな頭と細い胴体、足の長いスタイルにすることで6等身に仕上げたのです。
FTは「ロボットの世界に女がいてもいいんじゃないか」という新しい提案ができたと思います。人間社会の半分は女性です。同じように、近い将来ロボットが本格的に活躍し始めると、半分は女性型になるはずです。
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プロフィル 高橋智隆代表
京都大学ベンチャー ロボ・ガレージ代表、ロボットクリエイター
2003年京都大学工学部物理工学科メカトロニクス研究室卒業、ロボガレージ設立。
00年、足裏に電磁石を取り付け、鉄製の板の上で片足ずつ交互に電流を流し吸着させて、歩行を安定させる二足歩行技術「電磁吸着二足歩行」を開発。04年、関節の付き方を工夫し、軸足のひざが伸びた状態で歩く、人間に近い歩行技術「SHINーWalk(シン・ウォーク)」を搭載した小型ヒューマノイドロボット「Chroino(クロイノ)」を開発。米TIME誌が、その年の「Coolest Inventions 2004」(最もクールな発明に)に選んだ。
ロボガレージは、京都大学学内ベンチャー第1号。ロボットのサッカー世界大会「ロボカップ」で3連覇を達成した「Team Osaka(チーム大阪)」のメンバーで、07年のアメリカ大会で4連覇を目指す。京都府出身、31歳。


