本社編集局第一産業部 古谷一樹
自動車や電気機械メーカーの生産現場で使われる産業用ロボットに続いて、需要拡大のけん引役として期待を集めるサービスロボット。介護や警備、清掃、コミュニケーションまで幅広い用途への適用が期待され、ロボット専業メーカーだけでなく、ほかの分野からの参入も増えています。しかし実用化はいまひとつ進んでいないのが現状で、関係者の間からも将来の市場性を疑問視する意見があるほどです。
「利用者の視点」での地道な作業が不可欠
潜在的な需要が大きいサービスロボットの実用化をいかに加速するか。そのカギはロボット自体の性能ではなく、市場性が大きいニーズを見つけ出すことにあるといえます。これまで製品化されたロボットを見ても、ロボット大国としての技術の結晶といえる製品ばかりですが、目標に掲げた販売実績には届かないケースが少なくありません。
「メーカー側は技術の改善にばかりに気を取られ、利用者の視点を持ちにくい」。あるロボットメーカーの関係者が漏らすように、サービスロボットに何が求められているのかを把握するためには、実際にロボットが使われる環境で有用性や問題点を少しずつ確認する地道な作業が欠かせません。
活発化する産学官の連携
とはいえ、メーカー単独でこうした環境を作り出すには限界があるのも事実。このため、産学官の連携を通じてサービスロボットの実用化を後押しようとする動きが活発化しています。例えば全国規模では、昨年末に、「ロボットビジネス推進協議会」が発足しており、ロボット開発を手がけるメーカーに加えて、大学などの研究者、ロボット産業の振興を目指す自治体の関係者らが参加しています。
一方、地方自治体も同じような組織を立ち上げています。例えば、神奈川県と川崎市が発足した連携組織「かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会」。東芝やNECといった大手メーカーの開発拠点と、センサーやITなどロボット関連技術を保有する地元の中小企業を結びつけ、ロボット産業を集積、発展させるのが目的です。
同協議会の役割の一つが、技術シーズとニーズのマッチング。セミナーや商談会を通じて、メーカー側の関連技術とユーザー側の潜在的なニーズを紹介し、取引拡大や共同開発などにつなげることを狙っています。
自治体が取り組む実証試験に期待
JR川崎駅の地下街では、レスキューロボットの実証試験が行われた
もうひとつの役割は、実証試験の場所を提供すること。JR川崎駅の地下街で行った災害救助作業の実証試験では、実際にレスキュー隊員と連携しながら、安全性を探査する作業の訓練にレスキューロボットを活用しました。このほかにも、住宅展示場でナビゲーション用ロボットの実証試験を実施しています。
これまで培った技術力を原動力に、今後もさまざまなメーカーから新たなロボットが製品化されるのは間違いありません。これらのロボットをより実用的な製品へと昇華させる上で、自治体が取り組む実証試験が今後さらに重要性を増しそうです。




