パナソニックの社内ベンチャー・アクティブリンクは、全身タイプの「パワー増幅ロボット」の試作機を公開した(写真1)。人間が力で与えた指令を6軸力覚センサで検知し、それに基づいて、各モータをトルク制御することでパワー増幅を行う。おもに建設作業現場に向けて開発を進めており、2009年度は大手ゼネコンとともに用途の絞り込みを行い、2010年度以降の適用を目指す。
把持した物体の硬さや重さは直接フィードバックされるようになっており、硬さや柔らかさを感じ取ることができる。万一、ロボット側から人間へ過大なパワーが流入したときは、フィードバック系を遮断することで安全を確保する。具体的には、フィードバック系はワイヤを介して人間に力を返すようにしており、ワイヤを断線させることでプーリを空転するようにしている(写真4)。現時点では具体的な用途やユーザーなどが決定していないこともあり、どの程度の力がかかったときに断線させればよいかは検討中という。
また、同ロボットのようなシステムでは、パワーの増幅と安定はトレード・オフの関係にあり、人とロボットとの力学的な相互作用をモニタリングし、何らかの制御で抑制することが求められる。このような制御では、立命館大学 理工学部の金岡克弥氏が開発した「仮想パワーリミッタ」がよく知られている。同氏とは「パワーペダル」を共同開発しているが、現時点では、このようなソフトウエアリミッタは実装していない。「用途などを絞り込んだ後に、必要があれば、このような考えを取り入れるつもりでいる」(城垣内 剛代表取締役)という。
同ロボットの開発は、以前より大手ゼネコンとともに建設現場への適用を目指して取り組んでいる。有望な用途の1つとして現在は、高層ビル建設で利用する5t級タワークレーンの解体作業への適用を検討している。ビルの完成後は解体して、エレベータの空間を利用して地上へと下ろすが、各部材の重量は100kg~150kgにもなる。通常は、複数の作業者で解体や下ろす作業などを行うが、同ロボットの利用により1人の作業者で行えることを目指している。
少なくとも、2009年度中には具体的な用途を絞り込むことで、必要とされる増幅率や軸数などを整理し、再来年度以降の適用につなげていくという。
なお、本取材の詳細は、「今月の特集『2009年期待のロボットベンチャー・ロボットビジネス』(仮題)」で紹介する。


■関連サイト
「アクティブリンク 受託R&Dを軸に“松下の子会社らしく”大きく成長していきたい」
http://robonable.typepad.jp/robot/2008/03/rd-6795.html
「MMSE 金岡克弥 人と機械との新しい関係構築のため、熟練作業者のスキルを生かす道具としてMMSEを普及させたい」
http://robonable.typepad.jp/robot/2007/12/mmse-mmse-1771.html



