早稲田大学 創造工学部 総合機械工学科の菅野重樹教授は、27日開催(大阪会場)の「園芸ロボットに関するフォーラム」(主催:日本ロボット工業会)にて講演し、研究開発しているヒューマノイドロボット「TWENDY-ONE」(写真:2007年11月発表時の様子)などを例に、ロボット開発におけるハードウエア設計と環境構造化(あるいは環境情報構造化)の重要性を指摘した。
TWENDY-ONEは、4本の指を用いて1本のストローを掴んで持ち替えたり、両腕で約35kgの物を支えたりすることができる。巧みさとハイパワーを両立している点に特徴がある。
その巧みさを可能にしているハンドは、指先形状および材質は人間を模倣することにより、人間のような柔らかさを実現。また、母指以外に3指の関節部に、ばねなどを組み込んだ受動関節機構を搭載し、人間のような柔らかな動きを可能にしている。さらに、センシング機能として、手のひらに108エレメント(7.5×7.5mmのサイズ)、指先には133エレメント(4×4mmのサイズ)の計241点の小型分布圧力センサを搭載するほか、母指以外には指先に6軸力覚センサを、各指関節にはポテンショメータを、それぞれ備える。
菅野教授は、「人間の巧みさの源泉は爪や指尖、指頭、指側面から構成される指先形状にある」とし、人間とほぼ同様の形状や柔らかさを備えることでストローなどの把持を実現。「また、このようなハードウエアのつくり込みにより細かなセンサ制御などが不要だった」ことを明らかにした。そのうえで、人間の柔軟性や構造を意識した、「このようなハードウエア設計を重視したシステムインテグレーションが重要であり、良いハードウエアがあってこそ制御が機能する」ことを強調した。また、「汎用性と単能性のバランスは制御ではなくハードウエアにより決定される」との考えを示した。
環境構造化については、WABOT-HOUSE内に構築した環境構造化にもとづいて説明した。
日常生活支援や産業応用場面における作業の種類や数は限られているうえ、物が配置している場所もほぼ決定しているという。未知の事象への対応は少なく、「周囲から環境情報を取得することよりシナリオベースの知能化で十分にタスクを実行できる」ことを明かした。これを踏まえ、「未知への対応を意図して(創発的知能をはじめとする)知能化技術が開発されており、サイエンスとしては興味深いが・・・」と、否定的な見方を示した。
なお、TWENDY-ONEは2015年に実用化モデルを製作することを開発目標にしており、価格は1,000万~2,000万円程度にすることを予定している。「現時点でも、2005年に経済産業省が示した『ロボット技術ロードマップ』のほぼすべての機能を満たしている」(菅野教授)という。
■関連サイト
2008.12.16 【WABOT-HOUSE】早稲田、中部地域連携センター構想を発表、研究資源の展開へ
http://robonable.typepad.jp/news/2008/12/20081216-wabot-.html
2008.12.16 【WABOT-HOUSE】早大、森林作業を支援するフィールドアシストロボ公開
http://robonable.typepad.jp/news/2008/12/20081216-wabo-1.html
2008.12.16 【WABOT-HOUSE】早大、癒しなどを与える植物型ロボットのモジュール別試作機を公開
http://robonable.typepad.jp/news/2008/12/20081216-wabo-2.html
2008.12.16 【WABOT-HOUSE】早大、エネルギー自給をしながら清掃作業などを行う水中ロボ公開
http://robonable.typepad.jp/news/2008/12/20081216-wabo-3.html
■早稲田大学WABOT-HOUSE研究所
http://www.wabot-house.waseda.ac.jp/
■早稲田大学ヒューマノイド研究所
http://www.humanoid.waseda.ac.jp/


