富士重工業 クリーンロボット部の石川和良氏は、27日開催(大阪会場)の「園芸ロボットに関するフォーラム」(主催:日本ロボット工業会)にて講演し、「次世代園芸ロボット技術導入検証事業」(農林水産省)にて取り組んでいる「薬剤注入・散布ロボット」の開発状況を報告。これまでに開発した地雷探知ロボットの油圧制御技術と屋外清掃ロボットの直進制御技術を応用して開発していることを明らかにした。
開発しているロボットは現在、農機を用いて人手で行っている、土壌消毒のためのクロルピクレンの打ち込みの自動化を目的としたもの。クロルピクレンは劇物であり、多量に吸引した場合は、死亡に至るケースがある。作業者の負担軽減および危険回避につながることが期待される。また、施設内での果菜類の栽培に要している労働時間は、水稲栽培の約30倍となっており、その他の園芸分野での自動化・省力化への応用展開も目指している。
開発中のロボットは、おもにロボット本体と薬剤注入機構から構成される。本体上部に搭載した三角測量センサとジャイロで取得した位置情報をもとにハウス内を移動する。また、無線による遠隔操作も行える。薬剤注入機構はローラが回転することで薬剤を吐出するもので、直進移動時のみ下方に降りて薬剤を吐出し、旋回時は上昇するようにしている。実験を行っているトマト栽培農場などの畝間寸法(800~900mm)を考慮して、全幅は600mmに、他の寸法は2,345mm(全長)、1,050mm(全高)としている。
ロボット本体の開発では、クリーンロボットの保有技術を活用した。まずクローラ方式を採用した移動機構には、地雷除去ロボットで培った油圧制御技術やHydro-Static Transmission(油圧駆動変速機)などを利用した。直結した油圧ポンプからの油圧により油圧モータを回転し、駆動力を発生する。
また直進制御技術は、「愛知万博」で稼働した屋外清掃ロボット「ロボハイターRS1」のものを応用した。三角測量とジャイロセンサで取得した位置情報組み合わせることにより、30m/min程度スピードで走行しながら清掃を行うもので、万博では±100mm程度の誤差で直進移動が行えたという実績を持つ。
開発中のロボットでは全方向にレーザを投光し、ハウス壁面に設置したリフレクタで反射したレーザ光を検知することで、リフレクタのある方向と距離を三角測量で計測。あらかじめ登録リフレクタの座標位置と照合することで、ロボットの方向とYY座標を算出する。これにジャイロセンサで検出した情報を組み合わせることで直進移動を行う。
リフレクタはハウスの四隅に計8つを設置しており、リフレクタを検知していない間の直進移動はジャイロセンサのみの情報で行う。フレクタはジャイロセンサのキャリブレーションにも役立てている。ロボットがハウス内の端まで移動してリフレクタを検出すると三角測量センサに切り替えてキャリブレーションを行い、再度ジャイロセンサに切り替えて直進移動を行う。ジグザグに走行するようなイメージで、クロルピクレンをハウス内に一様に注入・散布する。
遠隔操縦での走行実験は実施したが、自律走行についてはまだ試験段階中という。遠隔操作ではあるが、その場での旋回を行うことができるため、「狭いハウス内での利用も十分に見込まれる」(石川氏)という。今後は、自律移動に向けた走行法およびシステム変更に加え、薬剤散布機能などの機能の充実を進めていくという。
提供先については農協を想定しており、「農協から個人に貸し出されることをイメージしている」(同)という。一般的な軽トラックの積載量が350kgであることから、「現在約400kgある重量を350kg程度に低減したうえで展開したい」(同)という。
■関連サイト
2009.02.05 富士重工、農業ロボット投入へ、不整地を走行し土質改良を行う
http://robonable.typepad.jp/news/2009/02/20090205-a765.html
ロボナブル2008年6月特集「農業ロボット企画 第1弾 ロボティクスがもたらす農業革新」
「PART1 農作業の省力化・効率化に寄与するか!? 最新!主要農業ロボットの技術動向」
http://www.robonable.jp/monthly/2008_06/p1.html#p002
2008.09.11 【RSJ学術講演会】富士重、屋外型清掃ロボのエレベータ運用法、安全設計を詳解
http://robonable.typepad.jp/news/2008/09/20080911-rsj-29.html



