中堅電機メーカーで人の動きを対象にした計測機の開発が活発化している。昨年、「今年のロボット」大賞にて、自動ページめくり器「ブックタイム」で「最優秀中小・ベンチャー企業賞」(中小企業庁長官賞)を獲得した西澤電機計器製作所(http://www.nisic.co.jp/)は物を噛む動きを測定する装置を、また、神津精機(http://www.kohzu.co.jp/)は手振れの再現装置を開発した。高齢化社会の進展などを背景に、「健康」や「機器の使いやすさ」をキーワードに、人体の動きに注目した装置の需要が拡大しそうだ。
西澤電機計器製作所は、歯を噛みしめているときの強さや時間を測定できる装置「そしゃく・噛みしめレコーダー BR-1000」を開発した。睡眠中の歯ぎしりが及ぼす身体の不調を研究する用途のほか、食事中の噛む回数や時間を記録して食育にも活用することができる。価格は14万4,900円。大学病院など研究機関向けに発売し、1年目は100台、2年目には年間200台の販売を目指す。
測定にはこめかみと顎(あご)の辺りに3つの電極を貼り、ヘッドバンドで固定する。噛むときの筋肉の動きを電極で捉え、データをパソコンに転送して専用ソフトで解析する。最初に強く噛んだ力を最大値として検出し、噛むごとに最大値の何%の力で何回噛みしめたのかを記録する。睡眠時の歯ぎしりの強さや回数を測定、グラフに約10日間表示できる。
同装置は2006年に発足した長野県テクノ財団浅間テクノポリス地域センター内の研究会を通じて歯ぎしりが身体に及ぼす影響を研究、治療に当たる歯科医などの協力をもとに開発した。
神津精機は、「手ぶれシミュレータ TSS-1000」を開発、発売した。デジタルカメラ・ビデオなどに搭載される手ぶれ防止機能の開発者向けで、うねるような自然な動きで手ぶれの振動を再現する。価格はオープン。初年度50台の販売を見込む。
同装置は駆動ステージとコントローラで構成。駆動ステージはダイレクトドライブ(DD)モータのほか、3軸の足部にACサーボモータを設置した。アルミ製の受け台にカメラなどを載せ、4つのモータを同期回転させることで、うねりに似た振動を再現する。
振動パターンはあらゆる場面に対応するように自由曲線を設定できる。周波数、振れ角度の設定も容易。振動幅は±1°の範囲で最大毎秒10回の振動(10 Hz)の自由曲線駆動が得られる。例えば、デジカメでは振動幅が±0.5°、10 Hzの振動で手ぶれを再現する。カメラなどワークの最大荷重は2 kg。
従来の手ぶれ機能検査や調整用製品は加振器をベースにしたもので、アンバランス回転やカム式などワンパターンの振動しか再現できなかったという。