長岡技術科学大学 工学部の中川匡弘教授(http://pelican.nagaokaut.ac.jp/)らは、人間が感情を想起しただけでロボットを動かすことができる制御技術を開発した。人間が「怒り」や「喜び」といった感情を抱いたときの脳波を計測・解析、制御信号に変換してロボット側に送信すると、ロボットがその感情に対応した動きをする。感情を想起してから0.1秒程度で動作する。今後、医療や福祉現場などでの利用が見込まれるロボット開発に応用する。
被験者の頭部に16個の電極を貼り付け、「怒り」や「喜び」といった感情を想起してもらい脳波を測定する。そのときの脳波の変化を「フラクタル次元解析(*)」という手法に数値化し、ロボット側へ制御信号を送信する。すると、例えば被験者が「喜び」を想起した場合、ロボットが両手を上げて喜ぶ動作をする。
感情の想起によりロボットへ4つ程度の行動をさせる場合、認識率は約95%という。ロボットを動作する前の準備として、被験者が感情を想起したときの脳波のデータを採取しておく必要があるが、1つの想起につき30秒程度と短時間で済む。実験で使用したロボットには、ヴイストンの大型2足歩行ロボット「Vstone Tichno」(ヴイストン ティクノ)を使用した。
中川教授は2006年に、人間が右手や左手の動きを想起しただけでロボットの右手や左手を動かす制御に成功している。
■注釈
*:フラクタルとは、同じ形状の繰り返す自己相似性を持つ図形や波形のことで、これを定量化・評価する方法をフラクタル次元解析と呼ぶ。周波数解析には現れなかった変化を明らかにできる可能性があるうえ、ノイズの影響を消去できるというメリットがあることから、複雑な信号の解析に適していると考えられている。脳磁計信号の解析などで応用されている。
■関連サイト
2009.04.01 ホンダとATR、島津、考えるだけでロボットを制御するBMI技術を開発
http://robonable.typepad.jp/news/2009/04/20090401-atrbmi.html
2009.03.20 長岡技科大、感性の数値化をより簡易に、2電極で脳波計測が可能
http://robonable.typepad.jp/news/2009/03/20090320-2-0fe4.html
2008.11.21 長岡技科大、光りを使って感性を計測するシステム開発、福祉やロボに応用
http://robonable.typepad.jp/news/2008/11/20081121-f2d7.html
2008.05.15 長岡技科大、脳波から人の感性を即時計測するシステム開発
http://robonable.typepad.jp/news/2008/05/20080515-eba6.html
記者ルポ「人間とロボットは以心伝心する? 脳インターフェースの最前線を追う」
http://robonable.typepad.jp/report/2009/04/post-800e.html


