富士重工業 戦略本部 クリーンロボット部の青山元部長は、第27回 日本ロボット学会学術講演会で講演し、「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト(移動知能の開発)」の開発状況を報告。自社開発した、オフィスビル清掃ロボット用ソフトウエアモジュールのRTコンポーネント化(RTM化)に取り組んでおり(写真はROBOMECで紹介したモジュール構成)、2010年度以降に「走行プログラム自動生成モジュール群」を開発し、2012年度以降には清掃ロボットに実装することで、RTM化した知能化モジュールも併せて提供する方針を明らかにした。ビルオーナーなどと一体となった清掃ロボットの提供により、清掃事業者をはじめとするユーザー側が走行プログラムを作成できるビジネスモデルを目指す。
富士重工では、同プロジェクトに参画する以前よりソフトウエアのモジュール化に取り組んでいる。参画後はその見直しに着手して、体系化がなされているかどうか、独立性を確保しているかどうかなどを検証してきた。2008年度からは、次の段階として産業技術総合研究 知能システム研究部門の指導のもとRTM化に取り組み、5月開催のROBOMECでは「画像によるライントレース」など計8つのRTM化を終えたことを、今年度には「磁気タグ認識」など計7のRTM化に取り組むことを紹介した(詳細は「2009.05.27 富士重工、RTM化するソフトウエアモジュール紹介、磁気およびジャイロ走行可能に」を参照)。
2010年度以降は、走行プログラムの作成を可能にする走行プログラム自動生成モジュール群の開発に取り組むことを予定している。走行経路に従って、または建物のCAD図と連携することによりRTM化した知能モジュールをつなぎ合わせて走行プログラムを自動生成する。これにより、ユーザー側で走行プログラムを作成できるようになるが、この生成ソフトの提供は最終段階としており、それ以前は、富士重工側で作成することを計画している。作成した走行プログラムは、清掃現場で調整した後に富士重工の管理サーバに取り込み、認可したうえでユーザーに引き渡す。このような管理体制により管理サーバと現地PCとのデータの乖離を防止することを予定している。
このような体制を目指した理由は、「そもそもソフトウエアはサービスと同義であり、清掃サービスとして清掃事業者が提供することが望ましく、また、このような提供方法により清掃ロボットの用途拡大が見込まれるから」(青山部長)であり、ビルオーナーなどとともにライセンス販売にて提供することを予定している。また、産業用ロボットと同様、ユーザー側でのプログラムの作成が可能になり、「清掃ロボットの普及につながる」(同)と見ている。ただし、ユーザー側で作成できるのは走行プログラムであり、知能モジュールの新規作成、論理の変更は不可としている。
知能化モジュールの提供に当たり、信頼性の確保に向けた取り組みにも力を入れている。富士重工では、品質を確保するためにアセンブラでソフトウエアを組んでいることで知られるが、RTM化に当たっては、機能ではなく管理しやすさを優先した粒度で進めている。具体的にはソースコードで100行程度、A4用紙2枚程度の分量の粒度にしている。また、その管理は紙ベースで、しかも総組立図から1つひとつの部品が追跡できるJIS製図基準に倣っており、不具合の発生時には1つひとつのソフトウエア部品から問題が追跡できる。さらに、サービスロボットの設計としてISO 9001の認証取得を受けることで、ソフトウエア開発の可視化および思考の統一も図っている。このような取り組みにより、「富士重工側に問題があるのか、それともプログラムを作成したユーザー側に問題があるのかを追跡することができる」(同)という。
加えて、RTM化した知能化モジュールの検証にも取り組んでおり、ツムラの医薬品下流製造工程ラインに導入した搬送ロボットシステムにて、RTM化する以前のアセンブラで組んだソフトウエアと同様の動作が可能か否かを検証している。ただし、コンパイラの精度保証については現在、検討中とのことで、「生活支援ロボット実用化プロジェクト内で取り組み、策定された基準に従って品質および信頼性を保証することになる」(同)という。
■関連サイト
2009.05.27 富士重工、RTM化するソフトウエアモジュール紹介、磁気およびジャイロ走行可能に
http://robonable.typepad.jp/news/2009/05/20090527-rtm-bd.html
2008.09.10 【RSJ学術講演会】富士重、2段構えの開発でRTM準拠知能モジュールの提供を検討
http://robonable.typepad.jp/news/2008/09/20080910-rsj2rt.html


