安川電機の亀井泉寿氏は、第27回 日本ロボット学会学術講演会で講演し、同社の産業用ロボット「MOTOMAN」に実装しているセンサレス柔軟制御機能および衝突検出機能を、片腕7軸構成を有するサービスロボット「SmartPAl(スマートパル)Ⅴ」に適用、検証したことを紹介した。SmartPAlⅤの各軸の柔らかさを維持しつつ、手先に加わる力の方向および大きさをおおまかに推定できたことを報告した。人間との共存環境下において安全性を確保しつつ、周辺環境との位置決め誤差を吸収しながらの作業の実現が期待される。今後は、手先にかかる力の推定機能を高めるとともに、把持した対象物の重量を推定してバランスを維持する機能の実現を目指す。
同社のセンサレス柔軟制御機能は、外部から印加される力に倣った動作を行うもので、各関節軸でトルクを制限することで柔軟な運動を可能にしている。トルクの制限値は作業状況に応じて設定することができる。また、状況に応じた位置制御との切り替えが可能で、例えば、対象物に近づく工程では位置制御で、テーブルなどへの配置は柔軟制御で行うという具合に、高速性と柔軟性と使い分けることができる。
センサレス衝突検出機能は、ロボットに作用する力を検知することでロボット自身や外界に損傷を与えないもので、システムに侵入する外乱をシステムの状態の一部として推定する外乱オブザーバにより各関節軸の外乱トルクを推定する。今回の検証では、各軸の外乱トルクを手先の直交座標系における力に変換することで、手先での推定外力を算出した。
前者の機能検証では、まず各軸のトルク制限値を変更し、外部から押した際の各軸の柔らかさを計測した。トルク制限値と軸の柔らかさとの間でほぼ線形の関係が見られ、その変更により軸の柔らかさを制御できることを確認した。また、アームの手先位置を手先直交座標系のY軸方向に20mm/secで移動させ、経路上に波形の障害物を配置した検証では、その形状に倣ってZ軸方向に変位した。障害物と接触時に加わる力に倣ってアームが柔軟に動作することも確認した。
後者の機能検証では、アームの肘に相当する軸を90°曲げた状態で、手先の直交座標系のXYZの各軸に30Nの外力を加える実験を実施。推定値には-1.0~23.3%の誤差があったものの、手先にかかる力の方向および大きさをおおまかに推定できることを確認した。推定可能な最小値の検証は、まだ実施できていないようだが、「500g程度の微少な外力の検証も行えるのでは」(亀井氏)という。
前者の機能では、アームの姿勢の変化に応じた重力補償トルクおよび摩擦補償トルクをリアルタイムで演算してトルク指令を与えており、機能の向上には摩擦補償の影響の検証が欠かせないが、これについても「まだ試験を実施していない」(同)。なおSmartPAlⅤは、減速機にはハーモニックドライブを用いているが、減速比は明らかにしていない。
■関連サイト
2009.06.02 東芝機械、センサなしでエンドエフェクタ先端の外力を検算出する技術を開発
http://robonable.typepad.jp/news/2009/06/20090602-557a.html


