村田製作所は、ムラタセイコちゃんの09年モデルの開発を発表した。半径75cm(最小で約半径50cm)でのカーブ走行および幅2cmの平均台での走行が行える。また、08年モデル比で3倍の速度となる秒速15cmでの走行が可能になった。発表した09年モデルで、ムラタセイコちゃん本体はほぼ完成という。10月6日から開催のCEATEC JAPAN 2009に出展し、各種デモを行う。
09年モデルは、ピッチ方向とロール方向の傾きに加え、ヨー方向を検出するジャイロセンサを搭載。検出した角速度から回転角度(進行方向)を推定し、新たに腹部に搭載した「方向円板」の反力トルクを用いて進行方向を変更する(写真下左)。右にカーブしたいときは方向円板を左向きに、左にカーブしたいときは右向きに、1周カーブしたいときは360°回転するという具合に、任意の方向および角度でカーブ走行が行える。走行速度の向上は、パラメータの調整により達成した。
回転円板は、電子基板の小型によって生じたスペースに収めた。搭載に伴う大幅な部品の配置変更は行っていない。また、その回転軸は一輪車の回転中心上に位置し、姿勢制御を行うフライホイール(慣性円盤)下部に配置しているため、08年モデルよりも全体の重心バランスが優れる。
また、足元を捉えるカメラを本体前方の下部に設置。平均台上面とタイヤを捉えた画像から進行方向を推定し、方向円板で向きを微妙に調整することで平均台走行が可能になった。平均台の上面には白いゴムが被覆されており、車載カメラがセンターラインなどを捉えるのと同様の処理を行っている。平均台は秒速2.5~3cmで走行する。
そのほか、障害物までの距離を測定するための超音波センサ(送信用受信用で1対)や、携帯情報端末やパソコンとのデータの送受信を行う2.45GHz帯Bluetooth通信モジュール、バッテリーからの電気エネルギーを変換して各制御回路に供給するDC-DCコンバータなど、同社が取り扱う各種電子部品を実装している(写真下右)。
同社では、取り扱う電子部品やモノづくり力の技術PRを目的に、ムラタセイコちゃんおよびムラタセイサク君を開発している。09年モデルはヨー方向を検知するジャイロセンサの追加にとどまっており、カーブ走行や平均台走行が行えるムラタセイサク君との比較であがった開発要求に応えることを目的に開発した印象が強い。09年モデルの開発費用は、カーブの走行に実現に約500万円を投資。開発期間は約6カ月間。なお昨年は、4台の開発に約3,000万円を投資している。あくまで電子部品の技術PRや理科教育での用途を目的としており、現在も商品化は予定していない。
同社では、ロボット市場の拡大により電子部品の需要拡大を期待しているとしつつも、具体的な市場調査はまだ実施していないという。また、09年モデルでムラタセイコちゃんはひとまず完成したとしているが、来年度以降の開発の方向性は検討中という。ムラタセイサク君との協調制御の実現が候補の1つに考えられる。
※今回の記者発表会は子供も参加して実施されたことを踏まえ、撮影した写真をそのまま掲載している。
■関連サイト
Robotコンサル小西の「超・思考法」
第7回 「ムラタセイコちゃん 開発秘話」
http://robonable.typepad.jp/column/2008/10/7-9600.html
第8回 ロボット開発による企業価値の向上
http://robonable.typepad.jp/column/2008/11/robot8-2a70.html
ムラタセイコちゃんHP
http://www.murataboy.com/ssk-3/


