富士重工業は、オフィスビル専用部の清掃が行える清掃ロボットシステムを開発した。レーザ三角測量と壁面に設置したリフレクタにより、オフィス空間内での位置や方向を認識しながら自律走行して吸引清掃を行う。併せて開発した走行プログラム自動生成システム(詳細はこちら)が提供されるため、走行環境が変化しても柔軟に経路変更することができる。
すでに実用化しているオフィス共用部向けでは、そのエリアが広大な大規模オフィスビルでなければ費用対効果を得にくいが、オフィスビルの専用部は拡大傾向にあり、また、低価格での販売を予定していることから、中規模ビルでも費用対効果が得られる。富士重工では、その導入により「例えば現在3人で行っている専用部での清掃作業を2人で行えるようになる」(クリーンロボット部の青山元部長)と見ている。
開発した清掃ロボットは、オフィスビル専用部での利用を想定して大幅に小型・軽量化した。共用部向けのサイズが850mm(全長)×720mm(全幅)×890mm(全高)、重量135kg(バッテリー含む)なのに対し、500mm×450mm×800mm、95kgとした。共用部向けでは、エレベータと連動することで低層階から高層階までの移動を自律的に行っていたが、軽量化により清掃作業者が手押しで搬送することができる。これに伴い、エレベータの改造などにかかるシステム開発費(約100万円)が不要となる。
自律走行はレーザ三角測量と壁面に設置したリフレクタにより行う。本体上部に設置したレーザ三角測量で360°レーザを投光し、リフレクタからの反射光が戻ってくるまでの時間からそれまでの距離を、角度から各リフレクタの方向をそれぞれ認識。事前に登録したリフレクタの座標位置と比較することで位置や方向を算出する。ガラスや段差などの危険個所では、手間に敷設した磁気テープを頼りに回避運動を行う。ジャイロセンサや距離センサなどを不要にしたことで、低価格での販売を可能した。
清掃作業者と共存環境での利用を想定しており、最高速度は30/minだが、人が存在する環境では20m/minという低速で走行する。仮に清掃作業者に衝突しても危害を与える危険性が小さい。本体前方下部にはレーザ測域センサとバンパセンサを設置しており、それを未然に防ぐようにもしている。また、レーザ測地センサはデスクやゴミ箱を検知し回避する機能も担う。
販売方法については、ビルのディベロッパーや管理会社などに清掃ロボット本体を販売し、清掃事業者などに走行プログラム自動生成システムをライセンス販売することを想定している。清掃品質などの決定権を持つ管理会社の方がロボット本体を導入しやすく、また、清掃サービスを提供する清掃事業者が自動生成システムを活用して柔軟な清掃を行うというのは望ましい姿と言える。富士重工にとっては、各ビルに応じて経路変更やシステム開発を行う手間から開放されるというメリットもある。なお、自動生成システムの販売ではプログラムの管理機能も併せて提供する。
早ければ12月には、共用部向け清掃ロボットを7台運用している東京・晴海のトリトンスクエアにて運用を開始する。富士重工では、これまでに清掃ロボットや搬送ロボットなど計80台以上を販売しており、年間で5~6億円程度の売り上げを上げている。
■関連サイト
ロボナブル2008年8月特集
「先進事例に見る サービスロボットによるプロセス革新 -サービス事業者の取り組みから学ぶ開発の押さえどころ-」
ビル管理コストの低減と品質維持を果たした住友商事グループ
http://www.robonable.jp/monthly/2008_08/index.html#p003
2009.11.21 富士重工、CADと連携可能な走行プログラム自動生成システム開発、ライセンス販売へ
http://robonable.typepad.jp/news/2009/11/21subaru.html
2009.09.16 富士重工、知能化モジュール提供へ、ユーザー側で清掃ロボの走行プログラム作成可
http://robonable.typepad.jp/news/2009/09/20090916-2f08.html
2009.05.27 富士重工、RTM化するソフトウエアモジュール紹介、磁気およびジャイロ走行可能に
http://robonable.typepad.jp/news/2009/05/20090527-rtm-bd.html
2008.09.10 【RSJ学術講演会】富士重、2段構えの開発でRTM準拠知能モジュールの提供を検討
http://robonable.typepad.jp/news/2008/09/20080910-rsj2rt.html


