国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、ユビキタス・ネットワークロボット・プラットフォームを活用した高齢者・身障者の生活支援に関する実証実験を開始した。2012年度までに、ATR知能ロボティクス研究所を中心にNTT、NEC、東芝、日立製作所と共同で取り組む。広い空間や遠隔地で複数の異なるロボットをきめ細かく連携・協調する同プラットフォームを確立し、小売店での買い物支援や遠隔対話による介助などでの実用化を目指す。
10日に実施した買い物支援では、高齢者が携帯端末上のバーチャル型ロボットと対話して買い物リストを作成。携帯端末を持つ高齢者がスーパーマーケットに入ると、空間内に埋め込んだ環境センサ(同技術では「アンコンシャス型ロボット」と表現)により高齢者の位置を計測。その後、音声認識・対話機能を実装する「Robovie-Ⅱ」(「ビジブル型ロボット」)が高齢者に近づいて話しかけ、携帯端末に記録したリストの内容を把握して該当する売り場へと案内する様子を披露した。
14日に実施予定の遠隔対話は従来、テレビ会議システム越しにボランティアが話し相手をしていたのを、ロボットに置き換えることで介助なしで会話ができるようにする。ぬいぐるみロボットとUSBカメラ、テレビ会議用カメラなどから構成される遠隔対話システムを利用して行う。
ユビキタス・ネットワークロボットとは、複数のロボットを協調・連携することにより複合的なサービスを提供する技術。ビジブル型・アンコンシャス型・バーチャル型の3タイプのロボットを、ネットワークを介して協調・連携することにより、ロボット単体ではできない機能およびサービスの実現を目指している。
なお、ネットワークロボットのプラットフォームインターフェースの説明書は、ネットワークロボットのWebサイト上で公開されており、ダウンロードして入手できる。
■関連サイト
2009.05.27 東芝、ロボを利用して音声指示やネット越しにレガシー家電を操作する手法を紹介
http://robonable.typepad.jp/news/2009/05/20090527-5688.html
2009.02.02 ロボットが位置情報を得るフレームワーク「RLS」の標準仕様文書の公開は12月頃に
http://robonable.typepad.jp/news/2009/02/20090202-rls12-.html
2009.01.29 ATR、イタリアのゴミ収集ロボを初公開、Robovieとの連携サービスを披露
http://robonable.typepad.jp/news/2009/01/20090129-atrrob.html
2008.12.26 ホンダとATR、ASIMOとRobovie-Ⅱによる連携サービス、環境情報の獲得により周辺状況に対応
http://robonable.typepad.jp/news/2008/12/20081226-atrasi.html
連載講座「業界標準技術を理解する その3 ネットワークロボット&環境情報構造化」
第1回 複数ロボットの連携を可能にするネットワークロボット
http://robonable.typepad.jp/trend/2007/11/post_828c.html
第2回ロボットに知識や情報を提供する環境情報構造化
http://robonable.typepad.jp/trend/2007/11/post_d6bb.html
第3回 ネットワークロボットと環境情報構造化の連携
http://robonable.typepad.jp/trend/2007/11/post_0fdb.html