愛知県産業技術研究所は、肘を対象にしたリハビリ動作を、理学療法士に代わって行う「リハビリ支援ロボット」を開発した。カメラと力覚センサによりリハビリ動作を教示し、同様の動作をロボットに行わせる。関節機能の回復を目的に一定動作を繰り返す既存のCPM(Continuous Passive Motion)装置と異なり、理学療法士の動作に近いリハビリが行える。今後、安全性の確認およびコストダウンを図ることで実用化を目指す。
1台のカメラで理学療法士の動作を計測する光学式教示機構の開発により実現した。
開発したリハビリ支援ロボットは、動作を計測するカメラ、6軸力覚センサと認識マーカを付加した装具、装具と連結したロボット、計測・制御を行うパソコンから構成される(写真1)。カメラで認識マーカを追跡することにより動きを計測し、同時に、力覚センサで患者に加えられる力を計測することでリハビリ動作を教示する(写真2)。
計3枚の認識マーカからカメラが最も見やすい1枚を随時切り替えて計測することで、複数カメラでないと困難な遠近と左右上下の傾きの認識を可能にした。また、患者の症状に応じて肘の曲げ伸ばしや捻りなどを行うだけで教示できるため、理学療法士でも容易に扱うことができる。
また、安全面にも配慮している。ロボットと装具との接続部には電磁クラッチを内蔵しており、リハビリ中に過大な負荷が患者に加わったときは接続を解除する。また、ロボット表面には接触センサを付加しており、ロボットと人が接触したときはロボットを停止させるようにしている。
装具とロボットは切り離して利用することもでき、加えられる力と肘の曲がり方やリハビリ前後の肘の曲がり方など従来、理学療法士が感覚的に捉えていた角度や力を数値化することができる。計測したデータの変化をリハビリの前後で比較することで、リハビリ効果の検証に役立てることもできる(写真3)。
なお、開発したリハビリ支援ロボットは、1月8日、9日開催の「あいち次世代ロボットフェスタ2010」で出展する。
写真1 リハビリ支援ロボットのシステム構成。理学療法士が装具を持ち、患者の症状に応じて肘の曲げ伸ばしや捻じりなどのリハビリ動作を行う。この動きをカメラが認識マーカを追跡することにより計測し、同時に、患者の腕に加えられる力を力覚センサで計測することでリハビリ動作を教示する。
写真3 計測結果からリハビリ時の腕の動きと負荷を表示した解析ソフトの画面
■関連サイト
2009.09.24 名古屋工大、腕用リハビリ支援装置を開発、軌道・負荷を任意に設定可能
http://robonable.typepad.jp/news/2009/09/20090924-8620.html
2009.09.11 産総研などリハビリ体操補助ロボット開発、2010年度には短期リースで提供
http://robonable.typepad.jp/news/2009/09/20090911-2010-6.html
2009.07.08 日本医大とイクシスリサーチ、装着が簡単なリハビリ用電気刺激装置を開発
http://robonable.typepad.jp/news/2009/07/20090708-4f50.html
2008.11.19 東工大 チューブアクチュエータを利用したリハビリ支援装置開発
http://robonable.typepad.jp/news/2008/11/20081119-b4b8.html
2008.03.10 愛知県産技研、2009年度をめどにリハビリ支援ロボ実用化へ
http://robonable.typepad.jp/news/2008/03/20080310-2009-7.html
アクティブリンク 受託R&Dを軸に“松下の子会社らしく”大きく成長していきたい
http://robonable.typepad.jp/robot/2008/03/rd-6795.html


