イーガーは、9~11日の3日間にわたり大阪市内の商業施設「ブリーゼブリーゼ」内で、ロボットによる広告宣伝効果に関する実証実験を実施。検証段階としながらも、来場者へのアンケート調査から、ロボットのモーション(仕草)を交えた広告宣伝はより強く印象を与えることを明らかにした。3月には2回目の検証を行い、2010年内にはロボットを活用した広告ビジネスの開始を予定する。
同社は、2008年12月に大阪大学の石黒研究室と共同で「ロボット演劇」に取り組み、ロボットの仕草により人に共感や感動を与えられることを確認している。この知見を踏まえ、今回、ロボットを活用した広告ビジネスを展開するための事前調査として実施した。
実験は、富士通フロンテックのサービスロボット「enon(エノン)」(大阪大学の新井研究室より貸し出し)にオムロンの顔認識技術「OKAO Vision」を実装して行った。OKAO Visionは男女の性別に加え、5段階で年齢層の判定が行えるが、来場者の属性を考慮して「20歳未満」「「20~30代」「40~50代」「60代以上」と4段階の年齢層に調整。計18の飲食店舗の広告を、年齢層および性別の8グループに分け、判定した属性に適したものをタッチパネル上に表示するとともに、仕草を交えて紹介した(動画1、動画2)。
顔認識技術を組み合わせた広告宣伝(デジタルサイネージ)は、NECなどがすでに取り組んでいる。アンケート調査から、ロボットの仕草を交えた紹介により通常の広告宣伝よりも強く印象に残るとの声があがったことから、ロボットは「(そのような取り組みの)一歩先を行く広告媒体になり得るのでは」(広報担当の山下剛氏)との見方を示した。また最近は、個人や小衆に向けたターゲティング広告へのシフトが進んでおり、顔認識技術を利用した広告宣伝は、こうした流れに沿うものと考えている。
同社は、「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(NEDO)に参画しており、OKAO Visionのライブラリを使用する「顔動作推定」や「個人同定モジュール」のほか「ロボット動作生成」「ロボット対話制御」など複数のRTコンポーネントを、ATRなどと開発している。今回の実験は、同プロジェクトでの取り組みではないため「開発したRTCは使用していない」(黒木一成会長)。同プロジェクト内でNDA(秘密保持契約)を結んだうえ、あるいは非商用利用に限り公開することを表明しているが、「OKAO Visionなど外販しているミドルウエアが含まれるといった事情がある」(黒木会長)からで、現段階ではこれらの外部提供は未定という。
なお、今回の実証実験は、情報処理推進機構(IPA)の「2009年度上期未踏IT人材発掘・育成事業」で採択された「人識別を用いた広告ロボット用モーションエディタプログラム開発」の検証の一環として実施した。
動画1 ニューヨークグリル&ラウンジ「マルベリーストリート」を成人女性に向けて紹介しているときの様子。落ち着いた店の雰囲気に合わせて大人の男性の声で紹介している。
動画2 中国料理「香港海鮮飲茶褄」を宣伝。「化学調味料を一切使用しない手作り点心と、生け簀の新鮮な魚貝類を使用した本格海鮮中華」・・・、と同店舗の特徴を紹介している。若い女性の声に切り替えて、お辞儀を交えながら丁寧に説明している。
■第1回「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(中間評価)分科会
http://www.nedo.go.jp/iinkai/kenkyuu/bunkakai/21h/chuukan/6/1/index.html
■関連サイト
2010.01.06 イーガー、9~11日にロボットを利用した広告宣伝効果を検証、身振り手振りで案内
http://robonable.typepad.jp/news/2010/01/06eager.html
2009.12.03 イーガー、ダンボールロボ販売へ、百貨店やアパレルに向け200体の販売を目指す
http://robonable.typepad.jp/news/2009/12/03eager.html
2009.09.24 富士通、70dB(A)の騒音下で70%以上の音声認識率を達成、タッチパネルなどと連携
http://robonable.typepad.jp/news/2009/09/20090924-5dc6.html
2009.07.02 NEC、デジサイ事業の売上高を500億円規模に、顔認識技術を生かした分析を提案
http://robonable.typepad.jp/news/2009/07/20090702-nec500.html
2009.01.19 NEC、コーヒーショップillyにて顔認識技術を使ったデジサイの実証実験を実施
http://robonable.typepad.jp/news/2009/01/20090119-necill.html
ロボナブル2008年9月・10月特集
顧客行動の“見える化”にRT(Robot Technology)の役割を埋め込め!
PART2 顧客行動のモニタリングに役立つ技術・ソリューション
(2)デジサイから動線管理までをカバーする「性別年齢自動推定技術」
(「FieldAnalyst」:NECソフト、「OKAO Vision」:オムロン)
http://www.robonable.jp/monthly/2008_09_10/p2.html#p002
連載「新産業の創造に挑む!なにわのロボット商人たち」
第22回 「ロボットを大阪発祥のキラーコンテンツに、そして地域の活性化につなげたい」
~ロボット×異業種を合い言葉に、ユーザー目線でロボットを提案~
イーガー 黒木一成さん、山下 剛さん
http://robonable.typepad.jp/roboist/2009/02/22-2806.html


