富士ソフトの渋谷正樹ロボット事業推進室長は、2日開催の「ロボラボトークセッション」で講演し、1日に発表した小型ヒューマノイド「PALRO(パルロ)」(写真上)は、実装する知能化技術(知能化エンジン)の有効性を示す役割を担うことを明らかにした。教育機関および研究機関への販売、さらには1年以内での一般販売に向けた準備を進めているが、ビジネスの主軸は、従来通りシステムインテグレーション(受託開発)にあるとし、電機メーカーや自動車メーカーなどのセットメーカーと共同で、これらの製品やシステムへの知能化エンジンの適用に取り組む。すでに商品化に向けて進展しているという。
PALROは、実装した知能化技術により、対話者と目を合わせて話したり床面の変化を学習しながら追従したりすることができる高機能なロボット(動画は記者発表での機能紹介の様子)。知能化技術は、大きくは「コミュニケーション知能」「移動知能」「保護機能」から構成され、1つひとつはRTミドルウエアのフレームに準拠したかたちでコンポーネント化している。それ単体での提供やパッケージでの提供にも対応することができる。
セッションでは、PALROは知能化技術の有効性を示す意図も込めて開発したことを明かし、同社におけるロボット事業の主軸は、これまでと同様、システムインテグレーションにあるとした(写真下)。すでに知能化技術のコンシューマー製品への実装に向けて活動を開始しているという。
知能化技術はライセンス方式で提供され、開発条件に応じて、実装した機器1台あたりのライセンス料が変動する。バイナリモジュールとして提供すると当時に、回路設計や機構設計の各種条件も提示する。例えば、マイクを搭載する際、外装品のすき間には****mmを設けるといった内容である。システムインテグレーションには、このようなコンサルテーションやコーディングのほか、顧客固有の機能の共同開発も含まれる。
写真 知能化技術のソリューション展開のイメージ。コンシューマー機器から産業機器まで適用することを想定しいている。
なお、PALROは、3月15日より教育機関や研究機関に向けて先行販売し、同時に、専用のネットワークコミュニティを立ち上げることで、知能化技術の社会用途の研究などに役立ててもらうことを予定している。ヒューマノイドならではのアプリケーションの創出につなげる。
過去に、似たような試みとして、ロボットベンチャーのスピーシーズがロボット版「Pod Casting」となるロボット放送「Bot Casting」を発表したことがある。ロボット試験放送評価キットとしてインターネットロボット「SPC-101C」とNetBSDベースOS「Speecys OS ver.2.1」、Javaアプリ開発インターフェース、ロボット放送受信アプリケーション「BotRoller」を提供し、同時に、「ロボット創造委員会」を立ち上げて、関連のある大学や専門学校などともにターゲットとする顧客に向けた機能提供やロボットの訴求活動を進めた。
また、それ以前には、API「OpenRoads(Open Robot Operation and Design Specification)」やアプリケーションソフト「101-VCE」のソースコードの公開に加え、ロボット用のコンテンツ(番組)を記述するために開発したスクリプト言語「RTML」(Robot Transaction Markup Language」やWindows XP対応の開発環境やモーションエディタなども用意し、多くのソフトウエア開発者に使ってもらうことで用途開発に努めてきた。しかし、狙ったように進展せず、昨年あたりから海外展開に目を向き始めている。
スピーシーズに限らず、ヒューマノイドの用途開発がうまく進展した例は見られないが、「こうした過去の動向は熟知している」(事業開発部の本田英二部長)とし、「例えば、用途開発者にインセンティブを与えるなど、何らかのテコ入れを図ることで有益なアプリケーションの開発につなげていく」(同)としている。これに関しては、いくつかの秘策があることを伺わせた。
■関連サイト
2010.02.02富士ソフト、RTミドル対応の人型ロボ販売、知能化技術を融合したソリューション展開も
http://robonable.typepad.jp/news/2010/02/02fujisoft.html
トレンドウォッチ
ソフトウエア指向とハードウエア指向のビジネス - 好対照のロボットベンチャーが抱える課題 -
http://robonable.typepad.jp/trendwatch/2008/06/post-be98.html
2008.06.20 スピーシーズ、ロボット版Pod Castingとなるロボット放送ビジネスを発表
http://robonable.typepad.jp/news/2008/06/pod-casting-352.html


