自律移動ロボットによるサッカー大会「ロボカップジャパンオープン2010大阪」のヒューマノイドリーグ「KidSize」(身長30~60cm)にて、千葉工業大学を中心とするCIT Brainsが昨年に引き続き、無失点で優勝を収めた(写真は決勝の様子。マゼンタのマーカーがCIT Brains)。前日に実施された、スローインと障害物回避ドリブル、ダブルパスからなる「テクニカルチャレンジ」(詳細はルールを参照)でダントツの計30点を叩き出しており、同クラスにて2年連続で完全優勝を果たしたことになる。また、新設の「AdultSize」(身長130~160cm)では、大阪大学と大阪工業大学の混成チーム・JoiTechが「ドリブル&キック」などで勝利し、1位となった。
今大会は、「どのチームがCIT Brainsから得点を上げるか?」に注目が集まったが、昨年に引き続き、CIT Brainsは相手に得点を許さず、強さを見せつけた。予選リーグでは、ITOLAB(山梨学院大学)に8対0、JEAP(大阪大学)に9対0と大勝し、決勝リーグでも準決勝で波道(社会人チーム)に6対0(動画:準決勝)、決勝では夢考房SitiK(金沢工業大学)に3対0(動画:決勝)と完封勝利を収めた。昨年の世界大会で、ドリブル&キック競技で準優勝を収めた機動性と正確さで、他のチームを圧倒した。
また未完成ながらも、世界大会を見据えて新機種となる「CIT Brains Dynamo」(動画:CIT Brains新型ロボ)を投入した。はじめ研究所の「Hajime Robot 42」をベースにしたロボットで、膝関節部に平行リンク機構を採用したのが特徴。膝を伸ばしきった特異点の状態でも、滑らかな関節角度を維持することができる。また、膝を曲げても膝上と膝下のリンクが常に平行であるため足裏と上体を平行に保つことができ、安定して歩行することができる。
計18の関節軸には出力トルク48kg・cmの双葉電子工業製サーボモータ「RS405CB」を採用し、画像処理にはOpenCV 1.0を使用した。ソフトウエアの再利用性を高めるために、ソフトウエアモジュールすべてをドットネット(.Net)のクラスライブラリとして実装しており、無償公開できるように準備を進めているという。
CIT Brainsでは、『(サーボはフリー)色が判別できている』『(サーボを入れて)初期位置が大きくずれていない』『ロボットをライン上において、ラインが中央に見える』など、起動時のチェックシートなども用意して試合に臨んでいる。ロボット開発で先行しているばかりか、マネジメント力でも優れており、他のチームが束になっても太刀打ちできない理由の一端を見せつけてくれた。
JoiTechと The Orient(東洋大学)の2チームが参加したAdultSizeは、スローインと障害物回避ドリブルの合計点は同じだったが、JoiTechがフットレース(徒競走)で片道21秒、往復51秒と好タイムを叩き出したうえ、ドリブル&キックで1対0で勝利を収めた。
また、エキシビションマッチでは「TeenSize」(身長100~120cm)で唯一参加したCIT Brainsとドリブル&キックで対戦し、打たれたシュートに反応したがゴールを決められた(動画:エキシビションマッチ)。CIT Brains同士の対戦では、キーパーが華麗に横っ飛びする様子(動画:CIT Brains TEEN)を披露した。ここでもCIT Brainsは優れた開発技術を見せてくれた。
余談になるが、今回、KidSizeで準決勝に進出したチーム・ぐろいず(大同大学)によると、RoboCupやつくばチャレンジなど3大会への出場に年間約100万円の予算を費やしているという。しかしながら、旅費と宿泊費、運送費でほとんどを使い果たしているため、新規開発にかけられる予算が限られている(同チームは近藤科学の「KHR-3」をベースに開発)。他チームも似たような財政状況のようで、『2050年までにヒューマノイドロボットが人間のワールドカップサッカー優勝チームに勝利する』という長期目標を達成するためには、また、参加チーム数を増やすためには、資金面などで何らかの方策を講じる必要があるかもしれない。
■関連リンク
ロボカップジャパンオープン大阪2010
http://www.robocup-japanopen.org/
ロボカップジャパンオープン2010ヒューマノイドリーグ
http://www.er.ams.eng.osaka-u.ac.jp/humanoid_jp/wiki.cgi/jp2010
RoboCup2010 SINGAPORE
http://www.robocup2010.org/
RoboCup Humanoid League
http://www.tzi.de/humanoid/bin/view/Website/WebHome
■関連サイト
2010.05.01 ロボカップジャパンオープン2010、明日から開催、新設のアダルトサイズの参加は2チーム
http://robonable.typepad.jp/news/2010/05/01robocup.html
2010.01.20 ロボカップジャパンオープン5月2~4日に大工大で開催、アダルトサイズクラスを新設
http://robonable.typepad.jp/news/2010/01/20robocup.html
2009.05.11 ロボカップ・ヒューマノイドリーグ、千葉工大などのCIT Brainsが完全優勝
http://robonable.typepad.jp/news/2009/05/20090511-cit-br.html
2008.07.22 TeamOSAKA、ロボカップ世界大会でベストヒューマノイド賞獲得。チームとしては5連覇
http://robonable.typepad.jp/news/2008/07/20080722-teamos.html
今後は、より高度な認識技術や行動選択が求められている「ロボカップジャパンオープン2008沼津」
http://robonable.typepad.jp/report/2008/05/2008-2491.html


