早稲田大学の高西淳夫教授らは、RT(Robot Technology)を用いて内視鏡の手術を効果的に訓練できる装置を試作した。手術の基本動作をゲーム感覚で学ぶことができ、施術のスキルを点数で評価することができる。高西研究室が開発したワイヤレスモーションセンサで手の動きを分析。画面を見ながら鉗子を使い、人体内の患部を治す内視鏡手術の速度や正確さなど施術のスキルを点数化できる。早ければ1年後の製品化を目指す。
九州大学や京都科学と共同開発した。病院など現場の医師の意見を取り入れて調整した。今後、肝臓や腸など内臓の動きを考慮し、施術者の手の動きを点数化する「評価関数」を改良する。録音した声でアドバイスする機能なども付加し製品化する。
縫合のスキルを客観評価する装置「縫合手技評価シミュレータ」技術を内視鏡に応用した。人間の身体に見立てた装置内部を画面で見ながら、実際の手術に使う術具で訓練できる。まるで「ボクシングのスパーリングのように手術の基本動作が学べる」(高西教授)という。
手の動きを計測するセンサには、独自開発したワイヤレスモーションセンサを採用。STマイクロエレクトロニクス社製3軸加速度センサ1個と3軸角速度センサ2個、3軸地磁気センサ1個を100円玉サイズに小型ボード化した。なお、同センサは、ロボットベンチャーのゼットエムピー(ZMP)が、開発用SDK「e-nuvo IMU-Z」として製品化している。
■関連サイト
2009.11.21 ZMP、入力装置の研究に使えるモーションセンサをSDKとして発売、Windows7に対応
http://robonable.typepad.jp/news/2009/11/21zmp.html#tp
2009.11.06 ZMP、早大高西研の人間計測センサの事業化で合意、Windows7との連携で用途開発
http://robonable.typepad.jp/news/2009/11/20091106-zmpwin.html#tp
2009.07.23 早大・高西研と京都科学、気管挿管の訓練用ロボット開発、手術技術の採点が可能
http://robonable.typepad.jp/news/2009/07/20090723-142c.html#tp
2009.07.17 早大、ロボット技術を活用した脳手術訓練装置を開発、動きを評価して自動採点
http://robonable.typepad.jp/news/2009/07/20090717-a1a8.html
2009.07.07 早大、文科省COEプロの拠点開設、ロボットの実用化に向けた最終調整の場へ
http://robonable.typepad.jp/news/2009/07/20090707-coe-dc.html
記者ルポ
医師の“腕前”を評価する医療用訓練ロボット実用化へ
―医療教育のバラつき緩和に向けEUから問い合わせが殺到 !? ―
http://robonable.typepad.jp/report/2010/05/post-100506.html#tp