産業技術総合研究所 デジタルヒューマン工学研究センターの堀俊夫主任研究員は26日、OMG(Object Management Group)の技術会議(Technical Committee、TC)にて、堀主任研究員らが提案した「Robotic Interaction Service(RoIS)Framework(人=ロボット・インタラクション・サービス・フレームワーク)」に関する標準仕様の策定に向けた提案依頼書(Request for Proposal:RFP)が承認、先月29日に正式発行されたことを明らかにした。OpenRTM-aistのメーリングリストで伝えた。サービスロボットに実装するアプリケーションプログラムとのインターフェース仕様やデータ形式を表現するための枠組みについて標準化が取り組まれる。
今後、11月まで同RFPに対する提案を求めたうえで、統一標準仕様案を取りまとめる。2011年5月頃には統合標準仕様書原案として提出する。国内では、同RFPへの提案権を有しているのは日本ロボット工業会(JARA)のみであることから、JARAの作業部会で意見を集約し、11月の標準仕様案の提出を目指す。
OMGの「RTC(Robot Technology Component)」標準仕様や米国Willow Garage社の「ROS(Robot Operating System)」に代表される機能モジュール(ソフトウエアコンポーネント)をより一層抽象化した「標準的インターフェース」の構築を目指す。標準的インターフェースが用意されることにより、各種ソフトウエアコンポーネントの再利用性の向上および流通が期待される。
RoIS Frameworkでは、標準的インターフェースの仕様および、これを通じて交換されるメッセージのデータ形式を表現する枠組みについて標準化活動を進める。
国内では、JARAの作業部会で意見を集約し、11月の標準仕様案の提出を目指す。これに関する意見や要望は今後、メーリングリスト(jara-service@m.aist.go.jp)で受け付ける。また、NEDOやネットワーク・ロボット・フォーラム(NRF)などの支援を得ながら、OMGにおいてRoIS Frameworkの標準化活動を進める。これらの標準化活動は、「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(NEDO)および総務省の研究委託として取り組んでいる。
今回、正式発行したOMGの技術会議では、RTCの動的配置および設定に関する標準仕様の策定に向けたRFPも発行されており、2つ目の成果となる。こちらのRFPについては、複数ベンダーから提供されている、RTC標準仕様にもとづくフレームワークの共通化および相互運用性の確保などが期待されている。
■「人=ロボット・インタラクション・サービス・フレームワーク)に関する標準仕様の策定に向け提案依頼書〔Robotic Interaction Service (RoIS) Framework RFP〕」
http://www.omg.org/cgi-bin/doc?robotics/2010-6-25
■関連ページ
Current OMG Technology Adoption Processes
http://www.omg.org/public_schedule/
Robotics Domain Task Force
http://robotics.omg.org/
■関連サイト
2010.06.29 RTCの動的配置・設定に関する標準提案依頼書が正式発行、標準化プロセス促進へ
http://robonable.typepad.jp/news/2010/06/29rt.html#tp
2010.05.27産総研・ミサワホーム総研など、身障者が住みやすい住環境モデル開発、RTミドルで構築
http://robonable.typepad.jp/news/2010/05/27aist.html#tp
2010.05.24 OpenRTM-aistでROSライブラリの扱いが可能に、産総研のGeoffrey Biggs氏がROS.orgに統合のためのパッチを提供
http://robonable.typepad.jp/news/2010/05/24willow.html#tp
2010.02.08 知能化プロ、一部RTCをOSSとして公開へ、各種知能化パッケージとして整理・統合
http://robonable.typepad.jp/news/2010/02/08rtc.html
2010.01.29 産総研、OpenRTM-aistバージョン1.0リリース、遠隔からのコンポーネント制御可能に
http://robonable.typepad.jp/news/2010/01/29openrtm.html#tp
2010.01.14 阪大の大原助教、RTミドルウエアの再利用性に言及、安全性の保証には別機関が必要
http://robonable.typepad.jp/news/2010/01/14osaka.html#tp
2010.01.05 富士ソフト、RTCの再利用性を紹介、第三者によるレビューで技術的な底上げが必要
http://robonable.typepad.jp/news/2010/01/05fujisoft.html
2009.12.05 NEDO、知能化プロの中間評価公開、商業ベースではRTCのつくり直しが必要との見解
http://robonable.typepad.jp/news/2009/12/05nedo.html
2009.09.18 富士ソフト、RTC再利用センターの活動を紹介、教育分野に向けたRTCの提供を検討
http://robonable.typepad.jp/news/2009/09/20090917-rtcrtc.html
2009.07.27 富士通、物体の3次元位置や動きを認識するロボット向け画像処理モジュール開発
http://robonable.typepad.jp/news/2009/07/20090727-3-4c38.html
2009.05.29 産総研、OpenRTプラットフォームの動作パターン設計ツール「V0.1」を紹介
http://robonable.typepad.jp/news/2009/05/20090529-openrt.html
2009.02.02 ロボットが位置情報を得るフレームワーク「RLS」の標準仕様文書の公開は12月頃に
http://robonable.typepad.jp/news/2009/02/20090202-rls12-.html#tp