日立プラントテクノロジーは13日、走行ガイドの設置が不要な無人搬送車「インテリジェントキャリー」を開発。初号機を大手ガラスメーカーに納品したことを発表した。搭載したレーザ距離センサにより地図生成を行い、地図情報上に走行ルートを設定することで自律走行が行える。初号機を含めすでに3台を納品したという。国内外で機械器具や半導体・液晶、医薬・食品などの製造ラインに向けて提案し、2015年度に売上高40億円を目指す。
インテリジェントキャリーは、搭載したレーザ距離センサにより走行エリアを周回運転することで地図生成を行い、パソコンで地図情報上に走行ルートを設定することで自律走行ができる。誘導線や磁気テープ、マーカや反射ミラーなど走行ガイドの設置工事が不要で、工事に伴う時間ロスを低減できるうえ、生産や物流現場のレイアウト変更に柔軟に対応することができる。
走行時に障害物を検知した際は、音声で障害物の除去の必要を知らせ、一定時間が経過しても除去されない場合は回避運動を行うことができる。また、レーザ距離センサは安全性確保の役割も担っており、高速走行時は遠距離で障害物を検知し、低速走行時は近距離で障害物を検知するなど、速度に応じた検知距離が設定できる。
各種移載方式とフォーク式、牽引式の3タイプを用意しており、積載荷重は、各種移載方式が30kg~4t、フォーク式が1t、牽引式が2tで、走行速度はいずれも3.6km/h。各種移載方式については作業者と隔離され、共存環境にない場合は、最大7.2km/hで走行する。大手ガラスメーカーにはこの方式を導入した。
無人搬送車市場は更新時期に入っているほか、海外での工場新設などに伴い需要が高まっている。特に海外ではアジア向けを中心に展開し、2015年度の売上高目標のうち1/3を海外が占める見込み。
なお、開発したインテリジェントキャリーは、9月14~17日開催の「国際物流総合展2010」に出展し、走行デモを行う。
■関連サイト
2010.06.24 清水建設、床面パターンから移動ロボットの自己位置を検出するシステムの開発にめど
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2009.12.25 ニチユ、自律制御型の無人フォーク開発、0.5秒で障害物判定し10km/hでの走行可
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http://robonable.typepad.jp/news/2009/11/26hitachi.html
2009.11.18 安川電機、自律移動ロボを商用化、記録した画像データと比較・補正して走行
http://robonable.typepad.jp/news/2009/11/18yaskawa.html
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http://robonable.typepad.jp/news/2008/11/20081109-5a36.html
2008.09.09 日立、障害物を避けて自律走行する物流支援ロボ開発
http://robonable.typepad.jp/news/2008/09/20080909-ac39.html