村田機械は9月14~17日開催の「国際物流総合展2010」で、「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」(NEDO、2006年度~2010年度)で開発中の全方向移動自律搬送ロボット「MKR-003」を展示。病院内での搬送用途に向け、同ロボットが専用ワゴンを牽引する方式で開発を進めていたが、ロボット本体内に収納・搬送する方式に変更することを明らかにした。パナソニック電工が2005年3月に岡山市の榊原病院に納品した、病院内自律搬送ロボット「HOSPI」に近い搬送方式になる。早ければ今年末には同ロボットの新版を公開する。
MKR-003は、複数センサを用いた地図生成および自己位置推定技術(SLAM:Simultaneous Localization and Mapping)によりエリア内の目的地まで最適なルートを判断し、障害物を回避しながら自律移動できる搬送ロボット。分割しての地図生成が行える独自アルゴリズムの実装により、環状経路にも対応することができる。
独立懸架付きサスペンション付きオムニホイールを搭載しており、1cmの段差を乗り越えられるうえ、人とすれ違う際は、音声とジェスチャーで自身の進行方向を伝えつつスムーズな回避運動をとることができる(動画)。慶応大学と産業技術総合研究所と共同で開発を進めている。
これまでは、ロボットの後部に専用ワゴンを連結し、牽引する搬送方式で開発していたが、この方式ではカーブ走行時は曲率半径が大きくなるため、ワゴンの衝突回避を含めた安全性の確保が難しい。医療スタッフのほか患者やその家族が多数往来する病院内での搬送を考慮し、ロボット本体以内に収納・搬送する方式に改めた。早ければ今年末には、この搬送方式にした新版を公開するという。搬送対象は、HOSPIでは薬剤はカルテだったが、同ロボットではおもにリネン類になるという。
また、エレベータを操作しての乗降および上下フロアーへの移動ができ現在、富士重工業などの働きかけで人とロボットが一緒に乗降できるようにする法改正が検討されているが、同ロボットでは単体で乗降するという。
2010年度末までの同プロジェクトでは、秋から冬にかけて各開発の最終審査を実施することになっており、同ロボットについては12月頃の実施に向け調整をしている。
なお、実用化については同プロジェクト終了の3年後をめどにしており、日本シューターが手がける院内物流システムの1つとして販売することを計画している(NEDO中間評価報告書より)。保守およびメンテナンスも同社のサービス網を通じて行う。2008年4月より京都第二赤十字病院にて継続的に実証実験を行っていることから、村田機械では同病院への導入を起点に、国内の他の赤十字病院に普及することを期待しているという。
■関連サイト
2009.02.16 NEDO、戦略的先端ロボ要素技術開発プロの継続事業を発表、早期事業化を目指す
http://robonable.typepad.jp/news/2009/02/20090216-nedo-6.html
2008.11.28 【ICRT2008】村田機械・慶大など、自律移動の病院向け搬送ロボ開発
http://robonable.typepad.jp/news/2008/12/20081128-icrt20.html
コラム「自律移動ロボ一筋20年!伴旬作の温故知新」
第2回 出会いが新たな開発テーマへと導く ―無菌病室床消毒ロボットに至るまで
http://robonable.typepad.jp/column/2010/07/post-100730.html#tp
連載「新産業の創造に挑む!関西のロボット商人たち」
ユーザーから「使いたい」と言ってもらえるロボットシステムを
―NEDOのステージゲートを通過・全方向移動自律搬送ロボット「MKR-003」を開発 村田機械 大町雅彦さん、森口智規さん
http://robonable.typepad.jp/roboist/2009/04/5nedomkr-003-e4.html#tp
ロボット業界最前線2007
「松下電工(パナソニック電工)使って利益が上がる、必需品となるロボットを目指す」
http://robonable.typepad.jp/robot/2007/08/post_c47b.html#tp


