信州大学繊維学部は、ハーモニック・ドライブ・システムズと共同でポリ塩化ビニール(Polyvinyl Chloride:PVC)ゲルを使った高分子アクチュエータと小型ブレーキ(写真)を開発した。電場を印加すると収縮し、遮断すると元のサイズに戻るPVCの特性をブレーキに応用した。電磁式ブレーキと比べて軽量・小型、かつソフトな動き、静音性を実現することができる。利用者との接触が多い医療および介護福祉ロボットで利用する人工筋肉への応用を見込み、実験や検証を行う。
今回の開発は同学部の橋本稔、平井利博両教授の研究成果を応用した。PVCに電気を流すとプラス極に引き寄せられる性質があることを生かしてアクチュエータを製作した。網状の電極とPVCゲルを何層にも積層したもので、電場を印加したり遮断したりすると伸縮運動を起こす。
実験では、円盤状のアクチュエータに重さ200gの重りを乗せたまま2mmの伸縮が行えた。この動きを生かして「医療福祉ロボットのブレーキやクラッチ、点字表示器、空気圧制御弁などに応用できれば」(橋本教授)という。
■関連サイト
2009.06.29 早大、化学反応で駆動する自律移動のゲル開発、溶液中で尺取り虫の動き
http://robonable.typepad.jp/news/2009/06/20090629-fce7.html#tp
2008.08.07 イーメックス、人工筋肉使った直動型高出力駆動装置を開発
http://robonable.typepad.jp/news/2008/08/20080807-26cd.html
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http://robonable.typepad.jp/news/2008/04/20080416-df2c.html