大和ハウス工業は21日、2006年より開発に着手した住宅床下点検ロボット「moogle(モーグル)」の本格運用を2011年4月1日より開始することを明らかにした。遠隔操作により狭い床下の点検や診断作業が可能になり、診断員の身体および精神的負担の軽減につながる。また、居住者もパソコン上の操作画面を介してリアルタイムに床下の状況を確認することができ、信頼感の向上につながる。おもに定期点検・診断への利用することを予定するが、悪徳点検商法などが発生する中、住宅リフォーム工事の営業活動に威力を発揮(営業効率の向上に寄与)することが見込まれる。
グループ会社で建物の定期点検・診断を担当するダイワハウス・リニューがファイナンス・リース方式で所有し、同社の診断員や設計担当者が利用する。リース料は月額4万円で、契約締結後に製造委託先の三菱電機特機システムから提供される。2011年4月より関東・中部・近畿地区の各営業所に計50台配備し、月間1,000件程度の点検・診断を行う。当面はグループ内での利用にとどまるが、他の住宅メーカーやシロアリ防除業者などへの提供も検討する。現在のシステム構成で外販した場合、200万円程度の価格になるという。
moogleは、引き渡し後10年目以降に5年ごとに実施する住宅の定期点検・診断での利用を目的に開発した。2006~07年度までは、経済産業省の「サービスロボット市場創出支援事業」にて千葉工業大学や筑波大学などと共同研究していたが、同事業終了後は量産化を見据え、三菱電機特機システムと共同開発を進めてきた。2009年4月から約150件の現場で試験運用を実施し、耐久性やメンテナンス性などの課題をクリアしたことを受け、今回の発表に至った。
moogleには千葉工大などの特許技術は含まれていないことを双方で文書で確認しているという。また、デザインはロボ・ガレージの高橋智隆代表が担当した。
おもな装備には、点検用CCDカメラと走行用の広角CMOSカメラ(視野角70度)のほか、レーザ距離センサとLED照明、無線LANアクセスポイントを搭載し、手元のコントローラとパソコンにより遠隔操作が行える(下写真右)。点検用カメラは、左右120度、上方85度、下方8度に回転することができ、配管をはじめとする床下部材や蟻道、錆、コンクリート基礎のひび割れなどを確認することができる。スケール表示機能も備えており、大和ハウスが補修対象としている0.3mmのクラックなどを判定することもできる(文末の動画参照)。
操作は、点検モードと移動モードに切り替えることができ、点検時に適時撮影した画像を診断報告書に添付することもできる(下写真中央)。居住者も確認することを考慮し、カメラ映像を見やすいインターフェースにしているが、住宅平面図上で現在位置や走行軌跡を表示する機能は備えていない(下写真右、動画参照)。各診断員が地図情報を記憶しており、不要と判断したからだが、運用状況を見ながらインターフェースの改善を検討するという。
また、本体の前後左右に搭載した4つのフリッパー(サブクローラ)により高さ15cm以下の段差を乗り越えることができるが、その際の一連の動作は自動化されている。段差に対しほぼ正面にアプローチできれば、ほぼ問題なく乗り越えることができ、操作にかかる負担がない。
定期点検・診断に要する時間については、診断員によるものとあまり変わらず、1回につき30分程度かかる。ただし、診断員による作業では作業着に着替えるといった準備や後片づけなどが発生するため、これらを含めるとmoogleを使用する方が作業効率が高いという。
おもな仕様は、本体サイズが約50cm(全長)×約30cm(全幅)×約24cm(全高)。間仕切り基礎に設けた貫通口(約30×50cm)を通り抜けるサイズにしている。本体質量は約13kg。バッテリーにはニッケル水素蓄電池を搭載し、連続使用時間は60分以上。
なお、住宅床下点検ロボットについてはトピー工業も提供しており、過去には中堅住宅メーカー・アーバンエステート(2009年3月に自己破産)が住宅着工時の「見える化」で活用したほか、昨年秋には78万円(税抜き)の低価格で提供を開始し、複数の工務店で運用されている。クローラロボットを活用した床下点検はすでに実施されていたが、今回のように住宅メーカーが定期点検・診断に向け本格的に運用を開始するのは業界初となる。
■関連サイト
2010.02.07 大和ハウスの住宅床下点検ロボ、実環境で検証中、量産モデルの開発は当面先に
http://robonable.typepad.jp/news/2010/02/07daiwa.html#tp
2009.10.22 三菱電機特機とトピー工業、100万円以下の低価格クローラロボットを相次いで投入
http://robonable.typepad.jp/news/2009/10/20091022-100-32.html#tp
2009.02.06 アサンテ、シロアリ防除ロボの開発を再開、ミルボ1と3を融合したシステムも構想
http://robonable.typepad.jp/news/2009/02/20090206-13-d5e.html
2008.11.25 三洋電機、床下点検ロボットの市場投入を延期、開発スタッフを転属・異動
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2008.10.21 大和ハウス、点検作業の「見える化」を重視して住宅床下点検ロボ開発
http://robonable.typepad.jp/news/2008/10/20081021-07c2.html
2008.03.19 明興産業、開発中の住宅点検ロボットを公開。ターゲットは住宅点検よりもインフラの検査か
http://robonable.typepad.jp/news/2008/03/20080319-56bd.html
2007.07.04 大和ハウス、床下点検ロボを2008年4月めどに配備
http://robonable.typepad.jp/news/2007/07/20070704_400d.html
コラム「Robotコンサル小西の『超・思考法』」
第3回 住宅床下点検ロボットにみる 安全コンセプトの重要性
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ロボット業界最前線2008
「トピー工業 2008年度は、床下点検ロボット市場にとって重要な1年になるはず」
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三洋電機 床下点検ロボットを軸に事業化に向けた活動を展開しています
http://robonable.typepad.jp/robot/2007/12/post_c0ec.html


