川口RINCは、埼玉県立川口工業高等学校の生徒と共同で、障害者向け移動装置の試作機を作製した。クローラタイプの同装置を、通常の椅子に取り付けて車椅子にする方式。調整機具(アジャスター)を用意しており、あらゆる椅子への取り付けを可能にした。今後、強度や速度の向上に向けた改良を進め、実用化を目指す。
川口RINCは川口商工会議所内に事務局を置く異業種交流団体。今回の取り組みは、7月に地元産業界と川口工業高校などが連携して立ち上げた「工業高校実践型人材育成プロジェクト」の一環。テーマを福祉関連に絞り、基礎デザインは高校側が担当した。
企画段階で、生徒たちから出た様々なアイデアをもとに、製品開発の方向性を決定。市販の椅子とクローラを組み合わせる考え方は生徒によるものだという。また、同校は各地のロボット大会へ頻繁に出場しており、そこで培った無限軌道関連のノウハウを提供している。
一方、川口RINCからは和光技研(川口市)など5、6社が参加し、装置全体の現実的な設計や製造を担っている。作製した試作機は、コントローラで左右のクローラを制御し、前進・後退のほか360度の方向転換が可能。5cm程度の段差も乗り越えられる。
現在のシステムでは強度や駆動力が不足しており、子供しか搬送できないことから今後は、構造やモータ出力を最適化するための試験や検証を重ねていく。実用性と安全性を高めたうえで、2011年3月頃の最終的な完成を目指している。
■関連サイト
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