リバストの菅佑樹氏は、16日開催の「2010ロボット技術活用・次世代産業フォーラム」(主催:各務原市)でRTミドルウエアの理解促進を目的に、RTコンポーネント(RTC)を利用する側(RTC利用者)と、要素技術など開発製品とともにそれを提供する側(RTC開発側)双方のメリットとデメリットを紹介した。
同社は、10月開催の「危機管理産業展2010」ではRTミドルウエアを利用したシステム開発例として、ステレオカメラやパンチルトヘッドなど同社の取り扱い製品(ハードウエア)を制御するRTCを開発し、これらを組み合わせたロボットを披露した。RTCとドライバをセットに提供することで、ユーザーが容易に試したり検証したりできるといった付加価値をつけようとしている。
RTミドルウエアは、ロボットの機能要素であるソフトウエアモジュール(RTC)をネットワークを介して組み合わせることで様々なロボットシステムを構築する実装基盤。システム構成の主体となるRTCは、他のRTCと通信・相互作用を行うデータポート、サービスポートなどを備えており、これらのインターフェース仕様を共通化することにより様々なRTC同士を容易に結合したり組み替えたりすることができる(RTミドルウエアの詳細は、産総研の「OpenRTM-aist」公式サイトを参照してほしい)。
講演では、RTC利用者と、同社のようなRTC開発者のメリットとデメリットを整理して解説した。
RTC利用者のメリットは、開発側から提供されるExampleを利用して「すぐに検証したり、そのまま利用したりできること」、データポートを介したやり取りのため、その「仕様を把握してればすぐに使えること」、LGPL(GNU Lesser General Public License)ライセンスのため「カスタマイズしたり有償で配布したりできること」、無線LANによる遠隔操作システムをはじめ「分散システムを容易に開発できること」などをあげた。
デメリットにはソフトウエア単体で用いる場合と比較して「オーバーヘッド(処理にともなう負荷の大きさ)が大きく、組込み機器のようにリソースが乏しい環境ではパフォーマンスが低下すること」、「システムのチューニングが欠かせないこと」などをあげた。
一方、RTC開発側のメリットには、物理パラメータを受け取ればよいため、機器提供時に「顧客向けのソフトウエア・インターフェースを容易に決定できること」、(特にRTミドルウエアユーザーには)Exampleを用いて「すぐに検証してもらえること」、OpenRTM-aistでのドキュメントが充実しており、「ソフトウエア・ドキュメントの作成にかかる負担が少ないこと」、RTミドルウエア対応製品が少なく、「新規参入しやすいこと」などをあげた。
デメリットにはドライバやライブラリに加え、「RTCを開発する手間がかかること」、共通規格にもとづいて実装しているため他社製品との「置き換えが容易に行えること」などをあげた。
RTミドルウエア対応製品については、「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(NEDO)にて各種センサのデータを取得したり出力したりするRTCが開発されているが、これらの配布方法が確定していないこともあり、まだまだ手薄な状況にある。リバストではRTCをセットに提供することで自社製品に付加価値をつけることを企図しているが、その反面、RTミドルウエアへの対応は他社製品との置き換えが容易になることから、RTミドルウエアおよび対応製品の普及状況を見ながら検討するという。
■「OpenRTM-aist」公式サイト(産業技術総合研究所)
■「RTミドルウエア入門」(リバスト 菅氏による解説)
■関連サイト
2010.09.27 富士ソフト、再利用性の検証を踏まえRTコンポーネントの作成法などガイドライン提案へ
http://robonable.typepad.jp/news/2010/09/27fsi.html#tp
2010.07.27 RTCの再利用性向上に向け標準的インターフェース用意、仕様やデータ形式を標準化
http://robonable.typepad.jp/news/2010/07/27rtc.html#tp
2010.06.29 RTCの動的配置・設定に関する標準提案依頼書が正式発行、標準化プロセス促進へ
http://robonable.typepad.jp/news/2010/06/29rt.html#tp
2010.05.24 OpenRTM-aistでROSライブラリの扱いが可能に、ROS.orgに統合のためのパッチ提供
http://robonable.typepad.jp/news/2010/05/24willow.html#tp
2010.02.08 知能化プロ、一部RTCをOSSとして公開へ、各種知能化パッケージとして整理・統合
http://robonable.typepad.jp/news/2010/02/08rtc.html
2010.01.29 産総研、OpenRTM-aistバージョン1.0リリース、遠隔からのコンポーネント制御可能に
http://robonable.typepad.jp/news/2010/01/29openrtm.html#tp