ビジネスデザイン研究所(BDL)は15日、フタバ産業(フタバ)による不正金融支援および調査報告書に対し、調査中間報告書を発表した。木村憲次BDL社長の不正への関与、「工場用ifbot(イフボット)」に関する売買契約の仮装など、BDLによる一連の不正行為(*)を全面否定した。フタバの調査報告書と正反対の見解を示した。ここでは、BDLによる調査中間報告書の要点および会見での木村社長のおもなコメントを紹介する。
BDLは、フタバによる調査報告書により市場での信用失墜および風評被害を受けている。東京の販売部を中心にリストラを行い、同社スタッフは12名程度にまで半減している。また、筆頭株主であるフタバのロボット事業からの徹底により、新たな出資者の獲得に奔走している。4月には、BDLが国内販売を手がける、恐竜型ロボット「PLEO(プレオ)」の開発元・米UGOBE社の倒産があったばかりで、ビジネスの縮小を余儀なくされていた。今回の不正金融支援をめぐる報道は、それに強烈な追い打ちをかけるかたちとなり、BDLの苦境は計り知れない。
*:フタバ産業は、これまでにBDLに対し総額約64億円に上る不正融資、つまり取締役会の決議など正規な手続きを経ずに行った金融支援や、海外子会社を通じた貸し付け、信用供与による貸し付けがなされ、うち17億4,200万円が未返済となっていることを公表している。BDLへの支援は小塚逸夫前社長(非常勤相談役)の肝いりであり「社長案件」として扱われたこと、法令遵守および社内ルールに対するマインドの低さにおもな原因があったとしている。
株式会社ビジネスデザイン研究所に対する不正な金融支援および特別調査委員会の調査結果報告につきまして(フタバ産業)
http://www.futabasangyo.com/news/090514_4.html
BDL調査中間報告書の要旨
BDLが示した調査中間報告書では、(1)BDLとフタバとの関係、(2)フタバからのBDL子会社化回避の要請、(3)木村社長の不正への関与、(4)工場用ifbotの売買契約のおもに4項目にわたって言及した。
まず(1)では、フタバによるBDLへの出資および支援の背景に言及した。BDLに見られるように、ロボットベンチャーの多くは、いわゆる「テクノロジーベンチャー」であり、初期の研究開発に相当な研究開発費を要する先行投資型のビジネスになりがちである。フタバによるBDLへの出資および支援は、そうした事業の特殊性を理解したものであり、また、フタバがロボット製造事業に進出する足がかりとするためのもので、フタバの小塚逸夫非常勤取締役(前社長)「社長案件」として扱われたものではないとの認識を示した。
これに関連するフタバの調査報告書は、次の通りに示されている。
『BDLへの出資はもともと小塚前社長の紹介を契機にしていたため、役職員が『社長案件』として、BDLに関して失敗は許されず、悪い報告を行うことができないという意識を強く持っており、そのような意識に遵法精神の欠如が加わり、経理担当の元常務および元執行役員が、当社の正当な手続きを経ることなく、無断で、露見しないような方法にて徐々にBDLに資金繰りを支援し始めたのではないかと推察されます。(中略)
複数の役職員の関与が認められますが、社長案件を潰してはならない、社長が推進しているロボット事業であれば多少のルール違反も厭わないという、ゆがんだ忠誠心がその根底にあるように見受けられます。』(引用ここまで)
両者の見解は正反対となっており、BDL側はフタバによる一方的な件論であり、ロボット事業の特殊性への理解を欠いたものと批判した。また、社長案件として取り扱われたものではなく、ロボット製造事業という新規事業に向け、取締役会の決定に基づいた出資および支援であるとの認識も示している。
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会見に臨むビジネスデザイン研究所の木村憲次社長。フタバによる不正金融支援との発表は一方的。また、工場用ifbotの売買契約は正規に交わされているうえ、自身が不正に関与していないことを表明した。 |
次に、(2)ではBDLの実質子会社判定の回避を目的した、フタバによる連帯保証を外すことへの要請に触れている。
2007年10月頃、BDLが銀行から7億円の融資を受けた際、リース会社から7億5,000万円の残リース料があった。これらは、いずれもフタバが連帯保証人となっている。
フタバの調査報告書によると、この頃フタバは、あずさ監査法人より実質子会社化判定に関する指南を受けており、同年11月末までに4つの条件を満足することを要するとされていた。すなわち、「1.リース会社および銀行に対する保証を消滅させること」「2.BDLの木村社長に対する貸付金を弁済させること」「3.BDLに対する役員派遣をやめること」「4.BDLに対する今後の支援を行わない旨の機関決定をすること」である。
また、フタバの調査報告書では、これらの連帯保証は加藤博久前取締役の独断でなされたものであり、実質子会社化をめぐる問題が生じたため、木村社長に協力を要請。上述の7億円と7億5,000万円の支払いに充てるために、加藤前取締役と木村社長が共謀して「工業用イフボット(フタバの報告書では「工業用イフボット」と表記されている)売買に関する基本契約書」を偽装し、その売買代金債権15億円が存在するかのように見せかけて、14億5,000万を借り入れる提案を別のリース会社にしたとしている。ここでは、加藤前取取締役が、融通手形15億円分を無断で振り出した、と続けている。
一方、BDLの調査中間報告書では、いずれの債務も支払いを遅延したことはなく、フタバに迷惑をかけていない。フタバの実質子会社となったとしても、BDLが困ることは一切ない。さらに、これらの連帯保証はフタバの取締役会の承認を得てなされたものであり、また、工場用ifbotの売買契約が売買代金債務により担保がなされた連帯保証であり、加藤前執行役員の独断でなされたものではないとの認識を示した。
ここでも双方の見解は、まったく異なる。ただ、フタバによる隠れた支援を繰り返すことの限界、BDLの実質子会社化を回避するといった目的のために、このような手の込んだ保証隠蔽スキームが木村社長により考案されたというが、十分な理由になり得ているかどうかは疑問である。
(3)は、(2)に関連するが、木村社長による保証隠蔽スキームの考案および請求書の偽造についてである。フタバの調査報告書では、木村社長がこれらの不正を実行したとされている。
これに対し、BDLの調査中間報告では、木村社長およびBDLは、フタバの取引先企業の1つでありフタバとは子会社の関係であることから、同社の経営および内部への介入は困難。BDLの実質子会社化は、製造受託を本業とするフタバには不都合が生じるかもしれないが、BDLには不都合はない。わざわざ子会社化を回避するために、木村社長が不正を働くことはあり得ないとした。
そして、(4)も(2)に関連するが、工場用ifbotの売買契約の仮装である。工場用ifbotは、工場での運用を目的カスタマイズしたもので、不具合を検知するセンサとifbotの会話機能が連動しており、異常が発生すると、話し言葉によりその内容を作業者に知らせる。異常内容をより的確に知らせるので品質確保に寄与するうえ、検査内容を復唱することでモラールの向上を図ったり、優しく話しかけることで作業者に癒しを与えたりすることができる。
上述の通り、フタバの調査報告書では仮装契約と断じ、この売買代金債権15億円をもとに別のリース会社より14億5,000万円の借り入れを検討、提案したとしている。これに対し、BDLの調査中間調査では、工場用ifbotを1,000台導入する契約が正規に交わされている。さらには、フタバの役員会にて計2,000台を導入する計画が決裁されており、あずさ監査法人が木村社長に対し連結決算の監査インタビューを実施した際、担当会計士が『これに関連する資料が持参したファイルに存在する』との発言をしている、としている。
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フタバとの間で争点となっている工場用ifbot(写真は一般向け)。工場用ifbotを1,000台導入する契約が正規に交わされており、フタバの役員会にて計2,000台を導入する計画が決裁されたと反論。また、BDLでは開発前払金と認識しており、フタバのからの借入金14億9,700万円に相当し、かつリース会社からの借入金にかかる連帯保証の担保となっているとの認識を示した。 |
実際にフタバに納品された工場用ifbotは20数台にとどまっており、残りの一部はBDLで保管する状態となっている。導入決定後のフタバ側の方針転換により、導入が進んでいないというのがBDLの弁である。
BDLとしては、カスタマイズおよび導入にかかる“開発前払金”に相当するものと認識しており、この売買代金債務により連帯保証の担保がなされている。また、上述の通り正規に契約を交わしていることから、フタバによる一方的な発表に過ぎないとしている。
以上が今回、BDLが発表した調査中間報告書のおもな内容である。このように、双方の主張には大きな隔たりがあるが、中でも、工場用ifbotの売買契約が正規になされたものか否かが今後、争点の1つになることが予想される。フタバは仮装契約と断じているのに対し、BDLでは1,000台を導入する契約が交わされており、リース会社からの借り入れ金14億5,000万円の連帯保証の担保であり、かつフタバからの借入金のうち14億9,700万円に相当する“開発前払金”であるとの認識を示しているからである。
BDLでは、より詳細な調査を実施し、フタバ社内での責任追及委員会に報告することを第一としつつも、場合によっては、事実確認や風評被害などに関してフタバと法廷で争う用意があるという。
木村BDL社長への一問一答
※ここでは記者会見時での記者からの質問に対する木村社長のコメントの要約を掲載しており、一部重複する内容は集約し、かつ回答順を変更している。また、記者からの質問と木村社長のコメントとの間にずれがあるが、ほぼそのまま掲載していることを断っておく。
――フタバによるBDLへの金融支援は「社長案件」ではなく、取締役会での決定に基づきなされたと主張しているが、木村社長がそう断定できるのはなぜか?
2003年からロボット開発に一緒に取り組んできた。フタバさん社内ではドリームチームを結成し、夢(ドリーム)を持って活動を展開されていた。社長の紹介だからといって、また、社長案件だからといって当社が特別扱いを受けたとは思っていない。当社ではこう認識しており、そのような主張をした。
フタバさんの社内手続きを踏まえて金融支援がなされたという事実があると思うが、そのような、しかるべき手付きを踏まえてなされた金融支援であると信じている。
――フタバの報告書では返済に迫られるたびに、別のルートで借り入れて返済に充てているようなニュアンスで書かれている。借りては返すという行為を日常的に行っていたのか?
当初からフタバさんに申し上げてきたのは、当社は(テクノロジー)ベンチャーであり、先行投資型ビジネスになるので資金的に厳しいことである。フタバさんは親会社であり大企業ですので、当社にロボット開発を委託されるだけではなく、量産にかかわるハードウエアの費用も負担してほしい。例えば、『試験研究費』という名目で開発費の一部を負担してもらえないだろうか、というお願いをしてきた。
しかしながら、フタバさんとしては開発を委託した側であり、開発費を負担すればメーカーになってしまうといった理由から、実際に開発費を負担してもらうには至らなかった。そこで、代わりに金融支援をいていただいたものと当社では認識している。
――フタバの小塚前社長には常時、支援をお願いしていたのか?
当社は子会社という立場上、小塚社長に直接お願いすることはないが、加藤前執行役員にお願いをしてきた。加藤前執行役員は当社の監査役でもあるが、あくまでフタバさんの経理担当の立場としてお願いをしてきた。フタバさん社内の議決に関する詳細な情報は耳にしていない。
当社が金融支援を受けるときの判断は、加藤前執行役員にも監査役として取締役会に参加してもらったうえで行っていたが、その際に具体的な助言は受けていない。
――フタバの調査方向書が発表された後に、加藤前執行役員とは話をしたのか?
加藤前執行役員とはお会いしていないし、連絡もとっていない。
――フタバの報告書では、BDLの子会社(ロボットライフ21)を経由して架空の循環取引がなされていると説明されているが?
(ロボットライフ21では、数読み上げなど音声で行うロボットブラウザを開発・販売しているが、)当社のシステムを用いて事業を展開していたが、利益を上げるまでには至っていない。当社が窓口となって(開発したシステムを)販売したこともあり、(資金のやり取りの)わかりにくさがあるかもしれない。そこに開発を依頼することもあるし、当社に入金があればそこに支払いも行っていた。
フタバさんが収集された資料などをもとに架空の循環取引がなされていると推察されているのかもしれないが、そうした事実はない。
――また、フタバの報告書では、木村社長による契約書の偽装や保証隠蔽スキームの考案などが明記されており、BDLの中間調査報告書と著しく乖離している。そこまで言及されたのはなぜだと考える?
第一の理由は、当社を連結決算の対象から外したいからだろう。フタバさんは、あずさ監査法人より実質子会社判定に関して指摘を受けている。1つは、リース会社および銀行に対する保証を消滅させること。2つ目は、BDLの木村社長に対する貸付金を弁済させること。3つ目は、BDLに対する役員派遣をやめること。そして、4つ目はBDLに対する今後の支援を行わない旨の機関決定をすること、である。そのうち1~3は私も把握しており、それを実行した。さすがに、4つ目は知らされていなかった。フタバさんの調査結果報告書を見て初めて知った。
フタバさんとしては、当社を子会社化するとロボットメーカーになり、製造受託を本業とされるうえで不都合が生じるのかもしれない。それを回避するために、当社を連結対象から外す行動に出られたのだろう。
フタバさんの財務状況から、そうした行動になったという見方があるかもしれないが、当社の影響力は微々たるもの。2008年度3月期の売上高は17億円程度である。それがフタバさんの財務上、問題になるとは思えない。あくまで当社を連結決算の対象から外すことを目的とした一連の行動だと考えている。
――さらに、フタバの報告書では工場用ifbotの売買代金債権は仮装と断じているのに対し、BDLでは別資料で、フタバに導入されていることを示している。実際には何台が納品されたのか? また、どのような契約だったのか?
契約では1,000台を導入することになっていた。フタバさんの六ッ美工場から導入が始まり、20数台を納品した。ラインに展開をされたり実証実験をされたりしている。その後、海外工場を含め各工場に展開され、計2,000台程度の導入が、役員会で決済されたと聞いていた。そうこうしているうちに、フタバさん社内で工場用ifbotの導入計画が別の試験研究費に変わったり、建設仮勘定の金型に変わったりした。フタバさんの社内事情ですり替わった影響により、導入が実行されないままでいる。
当社としては、この売買代金債権は、工場用ifbotの開発(カスタマイズ)にかかる前払金に相当すると認識している。その開発に関連して進めている要素技術の研究などがあるので、金額交渉を含めて再度打ち合わせをする必要があるだろうが、そう認識している。実際に契約を交わしている。双方の認識に大きな違いがあるので今後、詰めていかなければならない。
――フタバの報告書では、補填されていないフタバからの不正出金は計17億4,200万円に上るとしている。これはすべて返済義務があると捉えているのか?
不正出金ではないが、確かに借入金だと認識しているが、すべてを返済する義務があるとは思っていない。(フタバの報告書では、その内訳はフタバから出金された14億9,700億円、双葉科技から7億円出金されたうちの1億9,500万円、フタバ伊万里から出金された5,000万円が未返済となっているが)、うち14億5,000万円は、上述の工場用ifbotの開発にかかる前払金に相当するものだが、1億9,500万円と5,000万円は純然たる借入金であると捉えている。そうした認識をもってはいるものの、工場用ifbotの納品には至っていないので今後、この金融支援をどのように扱うのかを双方で考えなければならない。
――フタバによる調査報告書は、事業に多大な影響を与えていると想像されるが、すでに実施した対応策は?
いまは企業を存続させることを大前提に経営をしている。東京に展開していた販売部門は撤退したし、複数個所にあった倉庫を1個所に集約している。でき得る限りのコストダウンを図っている。風評被害および信用毀損による影響は大きく、当社の先行きに不安を感じ、すでに退社したスタッフもいる。東京の販売部門を中心に8名が退社し、いまは12程度の体制で経営をしている。
――今回、発表したのは中間調査報告書だが、最終報告はいつ頃までをめどに、まとめる予定か?
フタバさんの特別調査委員会による報告書は、報道を通じて初めて知った。非常に難解な内容であり、また、私自身の記憶を辿りながら思い出す必要があったため、フタバさんの発表から1カ月を経過しての発表となった。また、すでに取引先などから信頼を失っており、一刻も早く事実ではないことはきちんと伝えなければならないと思い今回、中間調査報告書としてまとめた。
事実関係を明確にするためには、まだまだ時間を要するが早急にまとめて、フタバさん内の責任追及委員会に事実をきちんと伝えたいと考えている。まずは、それを第一に考えている。そのうえで最終調査報告書を発表するのか、法的手段に訴えるのかを、弁護士を交えて検討していきたい。
――もし、フタバが法的手段に訴えてきたときは?
きちんと対応するつもりでいる。
■関連サイト
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ロボットのいるくらしを考える
第1回 「ロボットにハートを感じれば、ステキな関係になるはず」
-病室の翔太君のユーモラスな友達「ifbot」児童文学作家 牧野 節子さん
http://robonable.typepad.jp/trend/2007/09/ifbot_a259.html




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