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メカトロおよびロボット分野のスキルを判定する「メカトロニクス/ロボット検定(ロボ検)(*)」の本試験が6月に実施された。ロボットビジネス推進協議会(ビジ協)の主催で実施された同検定は、ロボット業界における標準的なスキル判定へと成長し、ロボット技術者の育成ならびに人材の流通の活性化に寄与することが期待されている。これに向けた取り組みを、運営を担当するロボテストの社長であり、ゼットエムピー(ZMP)の谷口恒社長に聞いた。 研究開発および市場拡大ばかりではなく、他分野および他業界への人材供給というかたちでもロボット業界が発展できる可能性があることを説いてくれた。 |
*:ロボット技術(RT)の広範な学術領域を横断的に評価する指標の確立、体系化された人材育成を目的とした検定試験。ロボット技術ばかりではなく、機械・制御・電気電子・情報といった広範囲な工学分野を網羅した技術要素について、各分野の基礎的なスキルから総合力までを判定するところに特徴がある。検定方式はマークシートによる多肢選択形式で、出題数は45~50問。試験時間は90分。受験対象は、工学系の大学生や高等専門学校の学生、企業の若手エンジニア。個人受験と学校や企業での団体受験を受け付ける。受験料は、学生が4,900円、一般は8,800円。6月と11月の年2回の実施を予定している。
ロボ検公式ホームページ:http://www.roboken.org/
ロボ検とZMPの事業とは完全に切り離している
――ロボ検を検討した背景は?
「ホビーロボットやロボット教材の普及を背景に、多くの大学のロボット学科などで、これらの製作を通じた教育が実践されている。しかしながら、このような教育を通じて、学生が具体的にどのようなスキルを習得したのかが不明という問題があった。スキル判定が行えるような検定を求める声があがっており、こうしたニーズを受けてロボ検の検討に向けた調査を始めた。具体的に取り組み始めたのは2008年からだが、ロボテストを設立した2007年から準備を始めていた」
「ロボ検の構想は、その土台となるロボット技術の体系化から始めた。ロボット教育で実績のある先生方と、つまり、例えば小学生から高校生に向けロボット関連のワークショップを開催するなど、ロボット教育に熱心な方と議論をしながら進めた。そして、完成したのが「数学」「力学・物理学・化学」「エレクトロニクス」「メカニズム」「ソフト」の知識領域に「アクチュエーション」「システム」「センシング」の技術領域を組み合わせた評価体系である。ロボット技術やメカトロ全般に加え、工学全般に関する基礎知識をカバーしたものになっている。応用力は、社内教育(OJT)で身に付けられるため、基礎知識に特化した内容にした」
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ロボ検の出題領域。「数学」「力学・物理学・化学」「エレクトロニクス」「メカニズム」「ソフト」の知識領域に、「アクチュエーション」「システム」「センシング」の技術領域を組み合わせた内容で出題し、知識を評価する。 |
――これまではロボテストによる開催だったが、本試験からビジ協主催に変更した理由は?
「昨年8月にα版を、3月にβ版をそれぞれ実施し、計458名が受験してくれた。テスト試験は当社の主催でもよいが、やはり本試験では公正であることが求められる。いずれは、これらを確保できる機関に主催をお願いすることを考えていたが、α版とβ版を評価いただいた結果、ビジ協の3月総会で正式な承認を得て、このような運営体制になった。ビジ協はロボ検の公正な運営を監視する役割を担っており、当社は運営実務に徹している」
「また、ロボ検の実施はロボット市場の拡大に、特にロボット教材の普及拡大に寄与することが見込まれている。ゆえに、ロボットビジネスの推進を目的としながらも、公正を確保できるビジ教による主催が望ましいと言えよう」
――ZMPはロボット教材を扱っている。ロボ検の実施は、その販売にどう関連づけるのか?
「ロボ検の実施は、ZMPの事業から完全に切り離している。ZMPのロボット教材に対応する検定という印象を与えると受験者の拡大が期待できないし、何よりロボ検の公正さを確保できないからだ。これに関しては、お約束できる」
「ロボ検を通じて得たニーズをもとに、新規にロボット教材を開発することを予定しているが、これらのニーズはオープンにするつもりである。ZMPは数十万円の高価格帯のロボット教材を提供しているが、数万円~数千円程度のものまで、さまざまな価格帯の教材がある。それぞれターゲットにしているレベルが異なり、それぞれに合致したニーズがあがるはずだろうから。
オープンにすることでロボット教材の活性化につなげたいし、また、ロボ検の受験者の拡大にも結び付くと考える」
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| ロボ検の出題例(問題はサンプル)。 |
メカトロ製品を開発する企業の受験者が多い
――第1回検定の受検者数およびその内訳は?
「受験者数は100名少々。社会人の受験者が多い。新しい年度になったばかりの実施なので、学生の受験者は少なくなることを予想していた。11月開催の第2回検定では、学生の申し込み者数が大幅に増えるだろう。また社会人の受験者も拡大すると思う。社内稟議の都合上、第1回検定の受検を見送り、第2回検定の受験に向けた準備を進めている企業が複数あるので。
私個人としては、ロボ検の潜在な受験人口は数万人がおり、2~3年後には数千~1万名程度が受験する規模に拡大すると見ている」
「社会人の申し込みでは、産業機械や自動車部品(電装品)などメカトロ機器を開発する企業からの参加が目立った。しかも、大手企業の一次サプライヤーが多い。
経済危機の中、技術者は付加価値のあるスキルを身に付けることが求められており、その一環として受験したのだろう。最近は、センサを実装するシステムが増え、製品の知能化(ロボット化)が進んでいる。ロボット技術なしには製品開発が考えられない時代になっており、その知識を獲得するきっかけとなるロボ検の受験を選択したと見ている。
また、プロデューサーのような人材が求められていることも関係している。これらの企業では周辺企業などに要素部品の設計・開発を外注しており、適切にインテグレートするためには総合的な知識が欠かせない。だから、幅広く知識が問われるロボ検を受験することで自身の能力を確かめ、総合的な知識の獲得につなげようとしていると考える」
――ロボ検は広く知識を問えるがゆえに特定分野に特化した評価結果を求める声があるのでは?
「すでにこうしたニーズが寄せられている。ソフトウエア開発企業であれば「ソフト」を、電気電子部品の開発企業であれば「エレクトロニクス」をという具合に、特定の知識領域、科目を詳細に提示してほしいという声があがっている。次の段階として、各分野に特化した評価も行えるようにしたい」
「また、検定のレベルについても要望が寄せられている。ロボ検は、工学系の大学生や高等専門学校の学生、企業の若手エンジニアを対象としているので、実務者向けの上位版と高校生向けの下位版の設置を求める声があがっている。これらを実施できると、高校生から大学または高専、企業まで、一貫したロボ検を実施できることになる。特に、高校生向けのロボ検の実施は、モノづくりに関わろうとする人材の拡大につながることが期待されるので、社会的に見ても重要性が高いと言えよう」
スキル標準に向けては、とにかく実績が重要
――今後、受験者に何らかの認定を与える構想はあるのか?
「受験者のニーズを見ながら検討したい。ある大学では、受験者に単位を与えることを検討している動きがある。eラーニング形式で単位の取得に必要な時間を受講してもらい、ロボ検である点数以上を獲得すれば単位を与えるという具合に。このような動向を調査して、認定を与えるための評価指標を検討したい」
「認定に関連して言うと、ロボ検の実施によりロボット技術者に必要なスキルのスペック化につながると期待している。ソフトウエア開発の世界ではスキル標準が策定され、必要なスキルがスペック化されている。これにより他業種からの人材供給を可能にしている。同様にスペック化がなされれば、ロボット開発企業が開発経験者ばかりを募っている現状が打破でき、他業種から優秀な人材を確保できる。ロボット業界の人材流通の活性化につながるはずだ。ビジネスパートナーであるパソナテックのほか、他の人材派遣会社も強い関心を持っている。
また、ZMPにとってもメリットがある。スペック化により各企業は自社の技術者に適したロボット教材がわかり、採用しやすくなるからである。当社(ZMP)のビジネスにも寄与するだろう」
――今後、ロボ検を業界標準的なスキル判定へと育て上げるには?
「こうした要求もあがっており、目指すつもりだ。古くは、山梨大学の牧野洋名誉教授らが、生産技術の発展のために業界標準的なスキル判定の作成が取り組まれたと聞いている。ロボ検は先に示した評価体系をもとに実施しており、広範囲の基礎的なスキル標準的なものに十分なり得る。だから、まずはロボ検の実績を積み上げていくことが重要だ」
「ロボ検の実施を通じて、ロボット技術を有する人材の輩出につながる。人材供給というかたちで広く産業界に貢献できるだろうし、このようなかたちでもロボット業界は発展できる。ゆえに、実績を積み上げて業界標準的なスキル判定へと育てていきたい」
■関連サイト
2009.04.22 ロボットビジネス推進協議会、ロボ検本試験を6月実施、RTの評価指標に寄与
http://robonable.typepad.jp/news/2009/04/20090422-6rt-fa.html
2009.03.23 ロボットビジネス推進協議会、ロボ・メカトロを対象にロボ検実施、5月に第1回開催
http://robonable.typepad.jp/news/2009/03/20090323-51-f1d.html
2008.12.22 ロボテスト、09年1月にメカトロ/ロボ検定のβ版を実施、100名限定で受付け
http://robonable.typepad.jp/news/2008/12/20081222-091100.html
2007.11.28 ゼットエムピーなど、ロボ工学分野のエンジニア育成する新会社設立
http://robonable.typepad.jp/news/2007/11/20071128_85bf.html





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