小野電機製作所(http://www.ono-denki.com/)は、東京工業大学の産学連携推進本部が特許を持つ「全方向移動対応ロボット」の製造・販売を含む実施契約を締結した。搬送ロボットを顧客ニーズに応じて工場や病院、介護施設向けにカスタマイズして販売する。年間30台の販売を目指す。今後は、同社が大学などと共同開発した技術を中心に、積極的に特許実施契約を結んで実用化していく。
製造・販売するロボットは、2002年に小野電機製作所が東工大の広瀬茂男教授らと共同で開発したもの。狭い場所を切り返さずに瞬時に全方向へ動き回る機能を持つ。また、サスペンション機能を付加することにより、多少の歪みのある床面でも走行することができる。
操作はジョイスティックを用いた手動や自動運転、ノートパソコンによる制御の3モードで行える。寸法や形状は目的に応じて変更することができる。「今回は機能性の高さから実用的な場所に向くと判断した。顧客の用途に応えたい」(小野芙未彦社長)と話す。
同社は設計・制御から機械加工、組立まで自社で一貫生産を行い、おもに大学や研究機関の開発をサポートしている。宇宙関連の実験装置やロボット分野に強く、月面探査ローバのクローブ部や超小型人工衛星分離機構などを手がけた実績を持つ。
今後は、これまで共同開発した製品で、ほかにも実用化できそうなものは積極的に特許実施契約を締結する考え。「景気の後退感もあり、自社ノウハウを生かした新たな事業展開を進めたい」(同)を話す。