慶応義塾大学の稲見昌彦教授(http://inami-lab.kmd.keio.ac.jp/)らは、建物や壁の先にある景色を、画面を通してあたかも透視のように見られるツール「フラヌール」を開発した。事前に建物や景色の画像データを入力しておくと、遮へい物に関係なくディスプレイに自分の先にある景色を仮想で表示する。高い場所に行かずに、建物の先にある遠景を眺めることができる。今後は携帯電話などの端末への実装を目指す。
フラヌールはフランス語で「散歩」の意味。画面を持つ端末に組み込んで使う。方角を感知するセンサとGPSなどを備えており、端末の現在位置から画面の向けられた距離や方向を把握することができる。適した画像を表示して仮想的に景色を表示する。
インターネットを使った立体地図情報サービスなどと異なり、建物などの障害物に遮られないのが特徴。多くのユーザーが撮影した画像データをサーバで共有すれば「仮想表示ができる場所が広がる」(稲見教授)ため、そうしたサービス提供なども研究していくという。
携帯端末内蔵のカメラに顔を近づけると見る景色が大きくなるといった機能もある。端末を持って実際に動き回れば、いろいろな景色を仮想体験することができ、「ひきこもりが減るのでは」(同)といった効果も期待する。