創機システムズ(http://www.souki-co.jp/)は、無人の小型垂直飛行ロボットの開発に着手する。垂直飛行機の新機構を発案した玩具メーカーのカワグチ(大阪府柏原市)と共同で、送電設備の監視などを行う無人飛行ロボットの実用化を目指す。2009年度に機能確認用の可載重量1kg程度の小型試験機を製作、2011年度に同5kgの試験機運用に漕ぎつけたい考え。
垂直飛行ロボットの開発に当たり、両社に近畿大の五百井清教授と大阪産業大の今村彰隆講師、静岡理工科大の前川昭二教授を加えた「関西VTOL(Vertical TakeOff and Landing)研究会」を発足した。飛行ロボットにはカワグチが発案した新機構のプロペラが前後左右に2基ずつ計4基搭載しており、プロペラの回転数を個別に制御することで上昇、下降や水平移動を行う。ヘリコプターに比べて機構がシンプルで、垂直飛行ロボットも低コストで製作できるとみている。
電線が密集する送電線設備の間を飛行するため、機体の高剛性・軽量化とともに小径プロペラでも高推進力を出力できるモータの選定がポイントになる。プロペラの形状、機体材料、電池の選定とともに産学連携で実用化開発に取り組むことにした。産業用途ではGPSやジャイロセンサを搭載するほか、高所作業が難しい鉄塔などの監視・保守を目的にカメラやセンサを搭載する。
同社では、用途や目的に応じて機能ユニットを入れ替えることで、さまざまなミッションへの対応を可能にする無人飛行ロボットを開発している。例えば、センサ信号などを処理・制御するメインコンピュータ搭載ユニットを設置したときは自律飛行をし、移動ロボットなどを搭載する投下ユニットを設置したときはラジコン飛行を行う。おもに森林火災や災害現場での監視用途をターゲットにしており、「広域での監視は無人飛行タイプを、局所での監視や検査での用途には垂直飛行タイプを利用するという具合に、使い分けを考えている」(創機システムズ)という。
なお、この取り組みは2009年度のおおさか地域創造ファンド事業委採択されている。
■関連サイト
第27回 「まだ誰もやっていない飛行ロボットをいち早く実用化したいです」
-多様な用途が期待される飛行ロボを開発、若手技術者に向けた工学塾も運営-
創機システムズ 峯山忠之さん、福山大典さん
http://robonable.typepad.jp/roboist/2009/04/27-f9da.html
2009.06.19 ジーエイチクラフト、自律飛行できる垂直離着陸型の無人飛行機完成
http://robonable.typepad.jp/news/2009/06/20090619-a470.html
2009.04.28 CAST、今秋めどに自治体や企業向けに無線操縦飛行機を製造・販売
http://robonable.typepad.jp/news/2009/04/20090428-cast-2.html
2008.09.04 東大・早大・三菱電、飛行ロボットの空中撮影事業化へ離陸間近
http://robonable.typepad.jp/news/2008/09/20080904-956b.html
2007.11.27 東大など、広島・八幡湿原の自然再生事業を飛行ロボットで空中撮影
http://robonable.typepad.jp/news/2007/11/20071127_0dac.html
2007.06.29 東大など、広島・八幡湿原の再生工事前に飛行ロボで植生を空中撮影
http://robonable.typepad.jp/news/2007/07/20070629_5e3b.html
2006.12.14 東大と広島県立林業技術センター、新飛行ロボでの空中撮影に成功
http://robonable.typepad.jp/news/2006/12/20061214_4085.html