ゼットエムピー(ZMP)の谷口恒社長は、は、3月31日開催のシンポジウム「新しいロボット市場創造に向けて」(主催:日本ロボット学会 ロボット市場創造課題研究専門委員会)で講演し、同社が今後、注力するRT(Robot Technology)の応用分野として、ヘルスケアと自動車とならび、医療・福祉分野向け次世代移動体の開発を挙げていることを明らかにした。すでに複数の医療機関より患者の搬送をはじめ病室間や病棟間での移動用途で引き合いを得ているという。また、2010年中に新製品を4つ上市することも明らかにした。5万、20万、500万、1,000万円以上の価格帯の商品発表を予定する。
ZMPは、2009年6月にカーロボティクス・プラットフォーム「RoboCar(ロボカー)」を、本年2月には、RoboCarのセンサ技術などを実装した超小型電気自動車(マイクロEV)「RoboCar G(ロボカー・ジー、写真)」をそれぞれ発表している。先進安全技術(ASV)を実装した次世代自動車やパーソナルモビリティの研究開発など、ともに研究用途での利用を想定したものだが、研究機関に加え、医療現場での移動用途で引き合いを得ているという。
おもなニーズは患者の搬送や医師の移動などで、各種センサの搭載により予防安全を実現したマイクロEVは、病室間や病棟間での安心・安全な移動を可能にすると期待される。
病院や施設など「限られた空間での移動は低速走行となるため、現在の予防安全技術でも対応可能」(谷口社長)とのことで、「各病院に5台程度が、敷地が広大な大病院ではそれ以上の台数が見込まれるのでは」という。
講演では新製品の発売予定にも触れ、12月末までに4つの価格帯の製品を上市することも明かした。5万円と20万円は既存製品の廉価版で、残りの500万円と1,000万円以上には具体的に言及していないが、新規開発品になることが見込まれる。
ZMPでは教育教材を多く扱っており、現状の商品ラインナップは10万、20万、60万、80万、150万、1,000万円以上となっている。年間で10万円代の商品が数百セット、20万円代が200~300セット、60万円代と80万円代が合わせて約200セットを販売しており、10万円代の商品が主流となっている。2010年も低価格の商品が販売台数の大半を占めることが見込まれる。
ZMPはRoboCarのほかにも、早稲田大学 高西淳夫研究室の人間計測センサシステム「WB-3(Waseda Bioinstrumentation system No.3)」の一部を開発用SDK「e-nuvo IMU-Z」および教材として販売を開始している。リハビリの評価や健康管理といったヘルスケア分野や、ジェスチャーによる入力など次世代インターフェースの研究開発で利用されている。生産現場における作業効率の改善に向けた利用もあり、業務ソフトとの連携により評価・分析を行っている製造企業もあるという。以前のようにヒューマノイドではなくヘルスケアや自動車へのRT応用に注力した結果、「ここ半年間の売り上げは創業以来、過去最高益を達成した」(谷口氏)という。
■関連サイト
2010.02.26 ZMP、研究開発向けマイクロEV販売、パーソナルモビリティや自律走行の研究に最適
http://robonable.typepad.jp/news/2010/02/26zmp.html
2009.11.26 群馬大、近距離走行を前提にしたEVを2012年に市場投入、EV特区開設を働きかけ
http://robonable.typepad.jp/news/2009/11/26gunma.html
2009.11.21 ZMP、入力装置の研究に使えるモーションセンサをSDKとして発売、Windows7に対応
http://robonable.typepad.jp/news/2009/11/21zmp.html
2009.11.06 ZMP、早大高西研の人間計測センサの事業化で合意、Windows7との連携で用途開発
http://robonable.typepad.jp/news/2009/11/20091106-zmpwin.html
2009.06.09 ZMP、カーロボプラットフォーム販売開始、すでに100台近くの受注獲得
http://robonable.typepad.jp/news/2009/06/20090609-zmp100.html
2008.10.28 ATR、看護師の動きを測定・推定し業務履歴を自動記録するシステム開発
http://robonable.typepad.jp/news/2008/10/20081028-atr-2d.html