富士通は、企業向けネットワークサービス「FENICS(フェニックス)Ⅱ」とクラウド基盤との連携により機械同士を接続する「M2M(Machine to Machine)通信」による遠隔監視サービスを7月に立ち上げる。管理対象となる工作機械や車載機器などに専用の通信モジュールやGPSを付加することで、作業指示などに必要な位置情報や稼働状況を収集し、機械の保守や物流支援に役立てる。M2M通信のグローバル化に向け、国内外の通信事業者8社と提携する考え。今後3年間で100社以上からの受注を見込む。
FENICSⅡのID認証機能「ユニバーサルコネクト」により、管理対象となる機械類をシングルサインオン(一括認証)のように同一IDで管理する仕組み。サービスを導入した機械メーカーなどは、客先に納入した製品がどこにあっても、ネットワーク経由でその位置を確認して稼働状況を遠隔監視することができる。
国内外にわたる広域でM2M型サービスを実用化するのは初めて。監視システムを個別につくり込む場合に比べてコスト効率が良く、大量の機械を監視することができる。管理する機種などは機械メーカーが決めるが、富士通では「1社当たり数万台に及ぶケースもある」と見ている。
機械の納入先が海外でも対応できるよう、欧州や北米、アジアの通信事業者らともID連携機能などを調整中。通信事情が厳しい新興国でも、一括してサービス提供が行える体制を構築する。
機械の制御コントローラと連携する通信モジュールは、管理対象の装置やセンサごとにカスタマイズする計画。通信用SIMカードや小型の通信装置なども品揃えをする。
サービスの提供に先駆け、富士通は金属機械加工の総合メーカー・アマダとの共同実験で遠隔監視の実用性を検証。機械の故障原因の早期発見や、部品の消耗状態の確認ができたという。農業や車載機器メーカーを対象にしたM2M型サービスを体系化する。
■関連サイト
ロボナブル2008年9・10月特集
顧客行動の“見える化”にRT(Robot Technology)の役割を埋め込め!
PART1 顧客行動を捉えるところにこそRTの重要な用途がある
コマツ「KOMTRAX」
http://www.robonable.jp/monthly/2008_09_10/p1.html#p001-01
森精機製作所「MORI-NET Global Edition」
http://www.robonable.jp/monthly/2008_09_10/p1.html#p001-02
連載「サービスサイエンスから探るロボットビジネスへのアプローチ」
特別編2「RT応用による顧客価値の共創」
―センサ技術を活用した真の顧客価値の共創に向けた提案―
http://robonable.typepad.jp/roboist/2010/03/post-100308.html
2010.04.22 アマダ、富士通のM2Mを利用した金属加工機械の遠隔監視システムの実現にめど
http://robonable.typepad.jp/news/2010/04/22fujitsu.html
2009.07.01 前川製作所、携帯回線を使用した冷凍機の遠隔監視システム開発
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2009.06.12 コマツ、KOMTRAXを産機事業に応用展開、今秋にも納入産機を遠隔管理
http://robonable.typepad.jp/news/2009/06/20090612-komtra.html
2009.03.02 日立と明電舎、工場の省エネや店舗の衛生管理のための遠隔監視ASP事業で提携
http://robonable.typepad.jp/news/2009/03/20090302-asp-3a.html